「かはづ書屋公演『小さき夜』」 小劇団が論争劇で切り取る昭和文豪の世界
「かはづ書屋」という小さな劇団がお気に入りである。
僕は下北沢系の小劇団ムーブメントにはほとんど関心がない。彼らの無目的でただただ自己顕示欲だけが目立つパフォーマンスが苦手なのだ。
そんな中で異色の題材を見つけ、それを論争的な芝居に仕上げて、あ、こういう作りもあったかと、思わせるのが脚本家・柳井祥緒さんが関わるこの劇団で、いちやく名を挙げたのは、乱歩の「D坂の殺人」を乱歩とは別の見立てで裁判劇にしあげた「Dの再審」というお芝居だった。
そのあとも、ハヤカワポケミス版で500頁近い大作「殺人鬼」を「巨獣の定理」という題で芝居に仕立てている。こちらは複雑な連続殺人を、容疑者たちを一切、登場させず、食堂を舞台に女中さん、執事、運転手といった一家にお仕えする従業員たちの世間話だけで進行させるという離れ業を見せてくれた…
(松坂健=跡見学園女子大学観光コミュニティ学部教授)
(トラベルニュースat 2018年7月25日号)
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