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「アメリカシネコンチェーン」 街角文化としての映画の終えん?

若いころ、といっても僕が社会に出た昭和50年代初めから昭和の終わりくらいまでの「のどかな」時代のことだが、都会のあちらこちらに映画館が散在していた。華やかなロードショーの映画街は別に、ふとしたところに二番館、三番館、名画座などがあった。エロ映画専門館もあったし、「実演と映画」なんてストリップショーと映画上映を組み合わせたようなものもあった。

街行く学生さんやサラリーマンさんは、そういう映画館に出くわすと、映画番組表と腕時計をにらめっこして、時間が会えば、半分暇つぶし、半分さぼりで飛び込んだものだ。今のように「入れ替え制」などはなく、いつ入ってもそこから見ることができた。途中じゃないか、とお思いの方も多いだろうが、次の回の出だしからそこまで見て、帰る。

そんなふうに映画と僕たちは日常的に「暮らし」ていた。つまり、映画が日常に溶け込んでいた。B級シネマも一流文芸大作もそんなふうに見ることができたのである。

不動産バブルで敷地の割に大きな映画館は次々と不動産屋に買い取られ、結局は大きなSCの集客の目玉として、シネコンに変身してしまった。

ところが、コロナ騒ぎがまた様相を抜本的に変えてしまいそうだ。

英米ともにシネコンは興行中止。アメリカでは超大手のAMCやリーガルチェーンが倒産寸前という。また映画制作会社のワーナーメディア社は映像の映画館優先配信をやめ、ネット配信とすることを決定した模様だ…

(松坂健=元跡見学園女子大学観光コミュニティ学部教授)

(トラベルニュースat 2021年1月25日号)

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