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講釈師が語る一休さんの十五 和尚追い湖に吸い寄せられ…

謙翁は病の為に寝込むが、献身的に看病する周建を枕元に呼んで

「ワシの寿命も尽きかけておる。そこでお主に名を授ける。ワシの宗為(そうい)という名の一字を与え、宗純(そうじゅん)。純は何にも縛られず混じり気の無い禅の心。お主には禅の心は教え尽くした。宗純よ。本来ならば教えを受け継いだ証をやりたいがワシも師の無因禅師からそれを貰わなかったのじゃ、悪く思うな。今、純粋な禅を持っておられるは大徳寺の住職、華叟(かそう)和尚、唯一人、煩わしい寺での暮らしを嫌うて今は琵琶湖の西の堅田で僅かな弟子と暮らしておられる。何かあれば訪ねるがよい」

此の日を境に宗純は思案に沈みます。いわゆる免許皆伝と言われましたが実感が湧きません。まだ大切な何かを掴み切っておらず安国寺のかつての法友も宗純を心配して度々訪ねます。

「宗純は近頃はどうだ?何やら妙に落ち込んで、まるで恋煩いの様だと言う評判だぞ」「…」「何か言えない事でもあるのか?」「何でもありません」「えらい沈んでおりますが何か私達に出来ることがあれば何でもさせて貰います」「此の病ばかりは薬でもどうにもなりません」「おぉ矢張り恋煩いか?相手は誰だ?何と言う名だ?」

ニヤける仲間も気にかけず、宗純が歌を詠む。

 本来の 面目坊の 立ち姿 一目見しより 恋とこそなれ
 我のみか 釈迦も達磨も あらかんも この君ゆえに 身をやつしけり

皆は黙ってしまう…

(旭堂南龍=講談師)

(トラベルニュースat 2021年6月10日号)

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