旅する講談コラム
講釈師が語る荒川十太夫その二 出会い頭に山門で杉田様と出会う
仲間を従え山門を潜ろうと致さば、出会い頭に二人の下郎を伴った立派な身なりの武士。この体をじっと眺め入った五左衛門が不審の眉を寄せながら 「暫し待て」「あ!これは杉田様!」「お主、当家の荒川十太夫ではないか?」「杉田様も御墓参でござるか...
講釈師が語る荒川十太夫その一 赤穂浪士への墓参が絶えぬ泉岳寺
宝永二年(一七〇五年)如月の四日は赤穂義士四十七士の三回忌。此の日は見事な日本晴、江戸の芝高輪万松山泉岳寺は、朝から義士の親類縁者は言うまでもなく、この義党にあやかろうという老若男女が途切れる事なく詰め掛け、境内は人で埋まるような雑踏。 ...
講釈師が語る一休さんの最終回 禅師、床の中で辞世の歌を詠む
「闇の夜に 鳴かぬ烏の 声聞けば 生まれぬ先の 父ぞ恋しき」この歌を地獄太夫に託しましたが、この後思い悩み、どっと患い付いてしまいます。 と言うのも一休、出会った時に地獄太夫の寿命が尽きかけているのを見抜いておりました。そんなある日の...
講釈師が語る一休さんの三十三 地獄太夫に引導の歌を読み返す
一休禅師が案内をされた部屋の戸を開けますと、そこには絶世の美女が、煌びやかないで立ちで出迎えております。見かわす顔と面、見つめ合う目と眼。一休がどっかと坐り直すと 「聞きしより 見て美しき 地獄かな」上の句を読みますと、 地獄太夫が...
講釈師が語る一休さんの三十二 地獄太夫と会いに遊郭へ向かう
京都で大名同士の争いで都が修羅の巷となったために、京都を後にいたします。 大阪へ出て参りまして住吉大社の照西庵へ住まいを移すことになます。近郷近在の者も生き仏の一休禅師がお出でになったので皆が甲斐甲斐しくお世話をします。 「こん...
講釈師が語る一休さんの三十一 物乞いに一太刀打ち込まれる
桃井若狭介の葬式に於いて、あまりにも華美し過ぎた為に、一休禅師が戒めの歌を詠む。居並ぶ者は呆れて首を傾げておりますが、その中でこれを悟ったのは本願寺の蓮如上人ばかりで。そんなことを一向意に介さず、さらに仕上げとして一休が 『極楽の 西...
講釈師が語る一休さんの三十 禅師の引導に蓮如上人ニコリ
ところがこの噂を聞いた町の者が「おい」「聞いたか?」「聞いたがな、何でも念仏唱えながら一休禅師に着いて行ったら、銭一貫貰えるねやて」「ほんまかいな?ワイは日蓮宗やで」「ええがな」「俺は曹洞宗や」「かまへんねん」「ウチらはPLや」「時代が違う...
講釈師が語る一休さんの二十九 お供に銭一貫…なんと385人
一休禅師は近郷近在の庄屋を呼び出し「よいな、貧乏人なら幾人でも構わんから、明後日の朝に早々、ワシが庵に集まるように、もっともそれは女子供の区別はない。参った者には銭一貫ずつ遣わすぞ」「え!ほんまで御座いますか?皆喜びます」と近郷近在の庄屋は...
講釈師が語る一休さんの二十八 名僧と高僧、往来で歌の遣り取り
これを聞いて一休禅師が「なるほど。では西方に極楽浄土あり、また一百三十六地獄ありと言うが、ワシは行ったことがないどうかそれを教えて貰いたい」「左様で御座いますか。『有りと言う 人には地獄は 有るものぞ 無しと思えば 人にこそ拠れ』」。 ...
講釈師が語る一休さんの二十七 蓮如上人と往来の真ん中で問答
一休禅師がさらさらと認めたのが「親死んで 子死んで 孫死んで」「どうじゃ目出度いやろう」「どこが目出とうございますねん。死ぬという文字が三つもありますがな」「いや、これは誠に目出度い。これが逆さになって見ろ、これほど不幸な話はない、親が死ん...