旅する講談コラム
講釈師が語る一休さんの二十六 雑煮で問答、白目鯛にもの申す
「どうも困りますがな、それよりも雑煮はいかがで御座います」「雑煮かこれは結構じゃな。頂戴いたそうかな」「では、禅師、大箸と申しまして身上が太くなるようにと縁起を担いだ、誠に目出度い箸でございます」「すると何かいな。これは半ばが太くて、先が細...
講釈師が語る一休さんの二十五 しゃれこうべを吊って桔梗屋へ
法事も心を込めて済ませます、後には御馳走をばお膳に載せて一休禅師の前へ。 「一休禅師、此の度は何とお礼を申して良いやら、さぁお召し上がり下され」「ありがとうございます」 一休禅師は袈裟衣を脱いで、今まで座っておりました、座布団の...
講釈師が語る一休さんの二十四 物乞い姿から一変の立派な袈裟
一休禅師は、相も変わらず墨衣に破れ笠杖を手に、空に浮かぶ雲が風に流されるが如く、足が向くまま気の向くまま。京都の町中で托鉢へ出かけます。立派な大金持ちと思しき邸宅の前で多くの僧侶や親類縁者が集まり盛大な法要を行っておりましたから、これ幸いと...
講釈師が語る一休さんの二十三 守山の古刹に「雷井戸」が残る
守山へ差し掛かった一休禅師、土地の者に話を聞けば、どうやら鬼のような形相の雷様が、度々雷を落として皆を困らせている話を聞き、これを戒めようと致しましたが、聞く耳を持ちません。一休禅師が「ならば致し方がない」と素早く腰にブラ下げた酒の入った瓢...
講釈師が語る一休さんの二十二 近江・守山で「雷様」と対峙する
遂に悟りを開いた一休禅師、墨衣に破れ笠、腰には清めの酒が入った瓢箪を携え、空を流れる雲のように所を定めずに、諸国流浪の旅に出立いたします。丁度、近江の国は守山(もりやま)に差し掛かった折、其処に住まいする、百姓が皆、悄然として野良仕事をして...
講釈師が語る一休さんの二十一 華叟和尚、宗純に「一休」授ける
すぐさま琵琶湖の湖畔にあった小舟に乗ると、一人で静かに葦の間を漕いだ、己がこの世にあることも忘れ過去も未来も無く天地と同化した、琵琶湖の真中でゴロンと仰向けになる自分がこの世にあることも忘れた。宗純は今まで入りたくても入れない、世界に入った...
講釈師が語る一休さんの二十 琵琶法師の調べで“悟り”得る
平清盛が太政大臣となり、平家一門が栄華を極めていた頃、白拍子の祇王、祇女という姉妹がいた(白拍子は水干袴という扮装で、今様を歌いながら舞を舞う遊女のこと)。二人は絶世の美人である、姉の祇王は平清盛の寵愛を受ける事によって、妹の祇女も持て囃さ...
講釈師が語る一休さんの十九 琵琶法師の調べで公案を悟る
宗純は禅興庵に修行する事になって、夢の間に三年という月日が流れます。ある日華叟和尚から公案を出されました。公案とは禅宗に特有の物で、試験問題とも言うべき物。公案の名は「洞山三頓(とうざんさんとん)」。 唐の禅僧で洞山という者が諸国を行...
講釈師が語る一休さんの十八 華叟和尚、徹底的に鍛える
堅田は禅興庵(現在の祥瑞寺)の華叟和尚に弟子入りをしようとするが、前払いをされる宗純。確固たる決意で以って、其の日から門の前で座禅を組んで、夜になると寺の軒下で寝ました。 四、五日経ったある朝、華叟和尚が弟子を連れて、村の檀家の元へ行...
講釈師が語る一休さんの十七 華叟和尚の弟子に…門前払い
嵯峨野のあばら家へ戻って参りました宗純。母親と対面致しますと 「貴方が七日間、石山寺に篭り悟りを開こうとしたが開けぬので、琵琶湖に身を投げようとしたことを只今、下男の七兵衛から聞きました。それが真実であれば、どうも得心のならぬことがあ...