旅する講談コラム

講釈師が語る一休さんの十八 華叟和尚、徹底的に鍛える
堅田は禅興庵(現在の祥瑞寺)の華叟和尚に弟子入りをしようとするが、前払いをされる宗純。確固たる決意で以って、其の日から門の前で座禅を組んで、夜になると寺の軒下で寝ました。 四、五日経ったある朝、華叟和尚が弟子を連れて、村の檀家の元へ行...

講釈師が語る一休さんの十七 華叟和尚の弟子に…門前払い
嵯峨野のあばら家へ戻って参りました宗純。母親と対面致しますと 「貴方が七日間、石山寺に篭り悟りを開こうとしたが開けぬので、琵琶湖に身を投げようとしたことを只今、下男の七兵衛から聞きました。それが真実であれば、どうも得心のならぬことがあ...

講釈師が語る一休さんの十六 伊予局の枕もとに観音様が…
京都は嵯峨野の詫び住まいをしておりました宗純の母、伊予局が下男に「七兵衛、暫く修行の旅へ出立と久方ぶりに挨拶に寄りました宗純の顔が、何とはなしに沈んでおりました」「まぁ確かに謙翁和尚がなくなってしまって、落ちこんでいるのは確かですが、手前に...

講釈師が語る一休さんの十五 和尚追い湖に吸い寄せられ…
謙翁は病の為に寝込むが、献身的に看病する周建を枕元に呼んで 「ワシの寿命も尽きかけておる。そこでお主に名を授ける。ワシの宗為(そうい)という名の一字を与え、宗純(そうじゅん)。純は何にも縛られず混じり気の無い禅の心。お主には禅の心は教...

講釈師が語る一休さんの十四 謙翁和尚「我の利」を説く
周建は謙翁和尚の弟子になろうと西今寺を探しますが、さっぱり分かりませんので、往来の者に 「ここら辺りで西今寺というお寺をご存知ないですか?」「西今寺?聞いた事がないなぁ」「謙翁和尚という御住持様です」「さぁ。せや。ここ真っ直ぐ行った所...

講釈師が語る一休さん十三 西今寺の謙翁和尚と出会う
将軍家の茶碗騒動以降、周建が塞ぎ込む様になり、「平生から偉そうな事を言う師匠や、将軍は斯様な小手先の事で得心するのか? それ以上に、小手先で何とか誤魔化そうと甘んじている己が一番に許せない、今のままでは悟れない。更に厳しい修業をしなければな...

講釈師が語る一休さん十二 世に二つとない茶碗か、命か
安国寺へ預けられた将軍家秘蔵の茶道具、世に二つとない石清水の茶碗を、寺の小坊主が誤って真っ二つに割ってしまう。皆が真っ青になっている所へ、周建が 「ではこれは私が割ったことにしましょう」「周建さんに罪を着せることはできません」「ならば...

講釈師が語る一休さん十一 天下一品の茶碗を叩きつけ
「像外よ、お主茶道は?」「たしなむ程度でございます」「ならば近々、安国寺へ参り、茶の馳走になりたい。それまでに将軍家の茶道を預ける。其の中には世に二つとない天下一品の茶碗。銘は岩清水。これなる器で茶を振舞うてくれ」「畏れ多いことでございます...

講釈師が語る一休さん十 喉元の「関所」でお預かり
三代将軍足利義満公に招かれた周建は昼食に出された戒律を破る食材が並んだお膳を全て平らげてしまう。 「周建。如何であったな?」「あぁ殿様、大変に美味しゅう御座います」「さりながら魚肉を食したな。汝の師である像外すら手を付けようとせなんだ...

講釈師が語る一休さんの九 将軍の面前で戒律を破る
三代将軍足利義満公が昼食の支度を家来にさせます。御膳が像外和尚と弟子の周建前にズラーっと並べられるから将軍は 「さぁ、両名とも遠慮なく過ごせ」「ありがとうございます。うわぁ…えらい昼食じゃ。戒律を破る食べ物ばかり、口にするわけにはいか...