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貨幣に代わる社会的インパクト

いま経済の流れには大きく2つの流れがあり、私たちはその両方に対応していかなくてはなりません。

ひとつは、経済成長を求め続けるネオリベラリズムの流れ。現政権も成長のために国民の自助努力を求めています。世界中で労働人口の減少が始まり、高齢者しか増えていかない21世紀に経済成長するためには、一人当たりの労働生産性を高める以外に方法はありません。

人口減少下で労働生産性を高める方法は業務の効率化だけではありません。例えば、週末に集中する需要のあり方に関する制度変更や、平日に滞在してもらうための集客の工夫も生産性向上につながります。まさにそうした取り組みが進んでいないでしょうか。

そして、観光産業の90%以上を占める中小企業の資本のあり方を見直し、いつまでも借入れに依存するのではなく、資本の増強を図らなくては生き残れなくなると思います。今後は、中小企業の資本を統合し、ホールディングス化して生き残る時代に入っていきます。

そしてもうひとつは、ポスト資本主義の流れです。生産性を向上しても、収益のほとんどは資本を持つ者に集約されていくことはフランスの経済学者ピケティが膨大な調査で検証しました。すなわち、人類が幸福を守るためには財務指標では表されない社会的インパクトを追求する時代にも入りかけています。究極は、国家の信用で発行され続け、資本家の懐に入っていく貨幣に代わる価値基準を作りあげることです。

それが、社会的インパクトです…

(井門隆夫=高崎経済大学地域政策学部観光政策学科教授)

(トラベルニュースat 2021年5月25日号)

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