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短期思考にオサラバを!

世界的な流れになっているSDGsの動きですが、日本ではなぜ「やらされ感」があるのでしょうか。学生からそんな質問がありました。

まずもって、それは非産油国の安全保障につながるからですが、米国の傘の下で安穏としている日本では理解しにくいという理由があります。加えて、戦後、日本人には短期思考が身についてしまい、子孫へと受け継いでいくという精神がやや希薄になってしまったからかもしれません。

例えば、旅館業は世界一老舗の多い産業です。しかし、中には代々続いた企業も途絶えてしまう例も増えてきました。それは、お金を借りて短期間で返すために働くという矛盾に陥ってしまったからかもしれません。借りることが悪ではなく借り過ぎてしまったこと。言い換えれば貸し過ぎてしまったこと。その結果の過剰負債が現代日本を苦しめています。

貨幣が信用でいくらでも貸し出せるようになったのは70年代から。当時は、経済が成長し続けると、まさか人口が減少に転じると予測できなかったのかと思います。

今私たちができることは、できるだけ借りないこと。そのために貯金する。その結果、お金が市中にまわらずデフレが続き、給与も減っていく。そんな現象が続いています。

「そのころ、死んでこの世にいねえや」という無責任な言葉をよく聞きますが、笑っていられた時代ももう終わり。お金を借りるなら、せめて300年の長期ローンで借りましょう。それが劣後ローンの発想です。

それでは金融機関が稼げません。そのため…

(井門隆夫=高崎経済大学地域政策学部観光政策学科教授)

(トラベルニュースat 2021年6月25日号)

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