コスパからタムパ、修行へ
タイムパフォーマンス。略して、タムパ。今の10―20代が最も重視していること。ちょっと前までは、コスパ(コストパフォーマンス)でした。が、今は違います。
観光に置き換えれば、職場はじめ、それほどまで親しくない人とは、どんなキャンペーンがあろうと一緒に旅に行きたくない。お金がもったいないのではなく、時間がもったいないのです。そんな時間あれば、家でネトフリしている(ネットフリックスを視ている)ほうがいい、という感覚。旅とは、仲の良い人と目的をもって行くものであり、行事だからとか成り行きとかで、観光に行く人の気持ちがわからないといいます。
そうじゃないんだ、と説きたくなる気持ちもよくわかりますが、これまで同様のプロモーションではまったく響かないのはおわかりでしょうか。19歳はリフト券無料だからスノボデビューだね、と口説けたのは過去の話。一歩家を出ることすら時間がもったいないのです。
就職は、自分が選択して、オフィスかテレワークか毎日決められる職業がよい。今年20歳になった成人の皆さんの気持ちだそうですが、きっと仕事が嫌なのではなく、通勤時間がもったいないのだと思います。気持ちはわかりますが、そんな仕事をぜひ探してみてほしいと思います。
志望する大学に入っても、出てくる答えは「思ってたのと違う」。会社でも同じことを感じるのかもしれません。
そうした彼らが、常に心に秘めている願い。それは「成長したい」…
(井門隆夫=高崎経済大学地域政策学部観光政策学科教授)
(トラベルニュースat 2022年1月25日号)
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