「個」市場対応でコロナと共生
長い第6波が終わろうとしています。まわりを眺めれば、観光再開のために待機なしの入国に移行する国も続々増えています。ウィズコロナという言葉を口だけではなく、心から理解できてさえいれば恐れることはありません。カゼだって同じコロナですし、次は自分の番。いつまでもコロナ、コロナと騒いでいる限り、人類の負け。今年こそウイルスと共生できる日本を築いていきたいですね。
ありがたいことに、新型コロナは新しいマーケットも引き連れてきてくれました。今度は観光業が、この新市場に対応していく番です。それは完全なる「個」の市場。
25年前、団体から個人へと市場が変化し温泉宿の客室も和室から洋室へ、宴会場がレストランに変わっていきました。
そして今、個人市場からソロ市場へと変わりつつあります。見た目は仲の良いカップルだったり、グループだったりします。でもそれは目くらまし。いざ寝る時には、1人1室が市場の本音です。新型コロナは、1人で過ごす時間の快適性を再認識させました。
旅館に例えれば、1人1室で埋まったとしても経営できる宿こそ、ポストコロナで生き残る宿になると思います。そのためには単価や収益性を上げる必要があります。料理のあり方を変える必要があります。
昨夏、学生がひと夏旅館を運営して収益を改善したケースでは料理は近くの旅館から完全デリバリー、ビールとソフトドリンクはフリードリンク式でした。オーダーはQRコードでチェックインも待たせるよりも無人でOK。接客以上に裏方を重視し快適に過ごす環境を作り出すことに徹しました。1人1室にするためには思い切った発想の転換が必要です…
(井門隆夫=高崎経済大学地域政策学部観光政策学科教授)
(トラベルニュースat 2022年3月25日号)
- “考えない”が観光業にしわ寄せ(24/10/28)
- 旅で感じた地球と学生の“異変”(24/09/27)
- 戦略的な縮小に備えよう(24/08/28)
- ヨコ社会の同調世界の弊害(24/07/29)
- 地域を支える事業こそ宿文化(24/06/27)
- 経験と体力が圧倒的に不足(24/05/27)
- 男子直系から相互扶助型家族(24/04/30)