ベトナムから日本を俯瞰してみた
2年半ぶりにやっと海外に行くことができました。私は定点観測地としてバンコクのゲストハウスと、アジア各地のエコロッジを廻り歩くことで新しい発想のインスピレーションを得ることにしています。
この夏はベトナム北部で8つの少数民族が暮らすエリアのエコロッジで、経営者のデンマーク人とエコロッジについて話をしてきました。エコロッジとは地域の環境や文化、産業を守り再生するため、地域と協業して周辺整備も兼ねながら開発する小規模宿泊業を指します。エコというよりもソーシャルロッジといったほうが近いかもしれません。ロッジは少数民族の暮らしをリスペクトする方々を世界中から迎え、民族の文化や生産品の提供を通じて地域振興に一役買っています。
この村落では古くから薬草を生活に取り入れていることから、アクティビティとしてのプライベートハーバルバスや薬草の森でのバーベキューを提供し、すべて少数民族の方々が案内してくれます。彼らはこのための英語を学ぶ機会を得ました。また、冬でも泳げるプールを作ってほしいという地域の要望に応え、棚田の中に眺望のよいインフィニティプールができました。これがまた集客につながっています。
デンマーク発のポリシーから、客室はとてもシンプルかつミニマムです。テレビはなく、遠く聞こえる集落の祈りの声がバックミュージック。冷蔵庫もなく、エコ・バーというクーラーボックスにドリンクが入っています。エネルギーをいかに使わず、循環させるか、欧州の発想が活きています…
(井門隆夫=國學院大學観光まちづくり学部教授)
(トラベルニュースat 2022年8月25日号)
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