世代交代が本格化する2023年
2023年、日本にとって結界となる年の幕が明けました。ついにやってきた23年は、今世紀最初で最後の世代交代の年になります。
昨年までの最多人口年齢は団塊の世代の74歳でした。23年は団塊ジュニア世代の50歳まで2まわり下がります(国立社会保障人口問題研究所人口推計・出生低位死亡高位統計より)。そして、過去に類を見ない「逆三角形人口ピラミッド」に向かい、40年にはジュニア世代がリタイア世代となる永久高齢社会が完成するのです。あと17年。ドラスティックに観光の定義を180度変える17年間になるでしょう。
サウナ造成問題で親子喧嘩しているのはまだ序の口。いまやサウナは大浴場の隅に付いているものではなく、健康目的で酒なしで日中の屋外でひとりで入るものとなりました。
同じように観光は、これまで50年間のように、余った時間に余ったお金でする非日常消費だった時代は終わり。生活時間に必要資金を使い、日常の延長で移動することを旅という時代になりつつあります。ちょっと悪いことをしても許された観光でしたが、これからはよいことを学びに出かけるのが観光になるでしょう。
国債発行で国土開発が開始され、旅行会社のパック旅行が生まれ、ディスカバージャパンキャンペーンが生まれた70年代。それから50年間、観光の一世代を作り上げてくれた団塊の世代に感謝をしつつ、人口増加時代の観光から人口減少時代の観光へと、バックギアを入れていきます。
22年、20歳のAdo(ウタ)は「新時代はこの未来だ」と…
(井門隆夫=國學院大學観光まちづくり学部教授)
(トラベルニュースat 2023年1月1日号)
- 宿泊税は定率にすべきだ!(25/03/27)
- 「100年後も雪国であるために」(25/02/27)
- 旅を経験する奨学金の創設を(25/01/28)
- 万博の年に思う子育てと観光(25/01/06)
- 昭和100年に令和7年を思う…(24/11/28)
- “考えない”が観光業にしわ寄せ(24/10/28)
- 旅で感じた地球と学生の“異変”(24/09/27)