経験と体力が圧倒的に不足
12年間続けてきた隠岐の島町でのインターンシップですが、この夏、途絶えてしまいました。朝夕には島内の旅館で働き、日中や休日には海で泳いだり、隣の島に出かけたり。観光協会の皆さんのフォローもあり、多い年には10人ほどが参加していましたが今年はついにゼロ。
というか、学生の性質が少しずつ変わってきたため、あえて私が止めたというのが正確な言い方かもしれません。お隣の海士町では学生は数年前から受け入れず、社会人オンリー。その気持ちはよくわかります。20歳前後の子どもたちのお世話をお願いするのが難しく、申し訳なくなってきたというのが本音です。
もちろん、やる気のある子はまだまだいて、そうした子は1人でも出かけていきます。その他の学生も多くは優しくまじめです。がやはり、年々ヨコ社会での同調が最優先となり、次が親子関係で、タテ社会とのつながりを回避する傾向が強まっているように思えるのです。
挑戦より安全志向で、消費には慎重です。企業の採用につながるインターンシップならまだしも、社会人基礎力を養う時間などタイパが良くなく、無駄と思われているのかもしれません。3年生にもなると親御さんも企業インターンに行かなくてよいのかと諭されるので、貴重な夏をよく調べもせずに無駄な企業訪問に費やしてしまいます。それより大切なのは、1日8時間働ける体力をつけること。そして年齢の違う方々と協働したり旅をして視野を広げることではないのかなと思います。ごく一部を除き就活は夏にはまだ始まりません。20歳の不安心理を押すのではなく、いろいろな経験をさせてあげてほしいと思います。
受け入れ側にも問題があります。旅館だけで働くインターンは不人気の一途。働くだけではなく様々な地域活動のプログラム化が必要です…
(井門隆夫=國學院大學観光まちづくり学部教授)
(トラベルニュースat 2024年5月25日号)
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