戦略的な縮小に備えよう
人手不足というワードを未だに聞きます。しかし、この言葉をそろそろ言わずとも済むよう戦略的縮小を考える時です。おもてなしは人が作るということももっともかと思いますが、その時代は平成で終了したことに気づいてほしいと思います。
スーパーのレジも無人が増え、5年もすればコンビニは無人になるでしょう。タクシーはすべてアプリとなり、物流も早く届けたければ用をかけること必要になります。もし観光産業だけが今のサービスを続けるとすれば、唯一の方法は同業者が消えてなくなっていくことです。しかし、その先には地域経済の崩壊が待っていますのでなくしてはいけません。
おそらく地方からは真っ先に学校が消えていきます。中学がなくなるので高校は寮生活が当然となります。大学の入試も高校での活動次第で決まるようになるため、高校での活躍が今以上に重要になってきます。
18年前の18歳(現在の36歳)は131万人いました。今年の18歳は109万人と22万人減りました。人手不足になるわけです。そして今から18年後、18歳人口は69万人。今後18年間で40万人も減少します。どれだけ高校を残すことができるかが地方の勝負の分かれ目です。69万人といえば現在の大学志願者数とほぼ同数。大学がなくなっていかない限り、誰でも入学できる時代になります。おそらく入試はなくなり、高校の成績と活動経験が大学へのパスポートとなるでしょう。
そのころ、大学は学部を再編し戦略的縮小に向かっているはずです。また、専門学校は大きく役割を変えていると思います。今後、社会経験の多さと「大人度」が社会で大切になるため、専門学校は大学に通いながら社会に向けたキャリアを学ぶ場として変化しているような気がします…
(井門隆夫=國學院大學観光まちづくり学部教授)
(トラベルニュースat 2024年8月25日号)
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