昭和100年に令和7年を思う…
来年いよいよ昭和100年を迎えます。たしか令和という元号になった気がするのですが、まだまだ昭和が続いていると思う時がよくあります。昭和というのは、人口ピラミッドが正三角形だった時代。令和では、人口ピラミッドが逆三角形になっています。そのことに気づいていない人々がまだ多数だからだと思います。
昭和の時代に給与は時間給でした。働いた時間に対して報酬が支払われるので労働時間が延びれば報酬は増えました。令和ではスキルに対して報酬が支払われる時代なのですが未だに時間給が続いています。そして労働者が働く時間を自ら削ることを求め報酬を減らすので賃金が上がりません。経営者にとっては今のまま現状維持のほうがよいのでしょう。
70年代から積み上げてきた国の借金も1千兆円にふくれあがっています。ただしこれらの負債は65歳以上の高齢者の個人金融資産に見事に収まっています。消費や投資につながれば経済も回りますが、相続まっしぐら。長寿化の結果、相続する時に子は60代。そしてまた子は相続のために預金し、経済が回らないので国債が発行される、昭和の悪循環がどこまでも続いていきます。気づけば、国民は自らの生産性向上策として少子化を選択し、続く昭和をしのいでいます。
地方の観光業で働く人は高齢者だけになるはずです。これからの18年間で18歳人口はこれまで18年の2倍減少します。学校は統合され、子どもや若者がいなくなります。UBERを導入しても高齢者の町ではドライバーがおらず、配車されません。温泉旅館では後期高齢者のお客様を後期高齢者の従業員が出迎えるという未来が見えてきます。
そろそろ令和を実践しましょう…
(井門隆夫=國學院大學観光まちづくり学部教授)
(トラベルニュースat 2024年11月25日号)
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