全国旅行支援 延長決まるも予定なし4割
10月11日から始まり、実施期間が12月27日までだった「全国旅行支援」の再開が決まりました。各自治体に配分された予算がなくなり次第終了となりますが、予算規模からすると開始日の1月10日から3月末までは実施することができそうです。どちらにしてもいつまでも続く施策ではないため、自治体が支援を終了させるタイミングとして年度末を区切りとすることは考えられます。
観光関連業界の支援と地方経済の活性化を狙った今回の施策も地域や事業者によってはその影響に強弱や良し悪しがあります。また、観光需要喚起策として推進されているものの利用する国民側にも平等な制度とは言えないところもあり利用者にも偏りが出ています。
全国旅行支援やGo Toトラベル以前にも各自治体から様々な旅行代金などの割引キャンペーンが展開されていましたが、利用者の多くは平日に旅行に出掛けることができる熟年層とビジネス客が中心でした。キャンペーンによる新規顧客開拓ができないどころか結果的に割り引かなくても旅行に出掛けるような人たちに対してわざわざ値下げしていたのです。
先月末、全国旅行支援の利用状況に関する某ウェブ調査の結果が発表されました(対象=小学生以下の子を持つ保護者346名)。「すでに利用した・利用したい」を合わせると52%が最多でしたが、一方で「旅行予定だが利用しない理由」の第1位(31%)は「すでに申し込み枠が上限に達していて申し込めなかった」でした。
予算枠の関係で申込先によっては利用できない制度になっていることも問題なのですが、実は「ワクチン接種証明またはPCR検査の陰性証明書の提示ができないから(27%)」と「提示したくない(10%)」を足すと「全国旅行支援を利用しない」の理由としては一番多くなります…
(山田桂一郎=まちづくり観光研究所主席研究員)
(トラベルニュースat 2023年1月1日号)
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