新・観光立国推進基本計画 量から質へ消費額重視に
今月9日、観光庁は交通政策審議会第45回観光分科会を開催し、新たな観光立国推進基本計画(2023―25年度)の素案を提示しました。すでに内容をよくご存知の方もいらっしゃるかと思います。
新たな観光立国の実現に関する目標については量から質の向上が強調され、COVID―19感染症の見通しが不透明であるとして、人数に依存しない指標を中心に設定するとあります。今後の観光政策の方向性としては「持続可能な観光」「消費額拡大」「地方誘客促進」が示されましたが、その中でも「消費額拡大」については指標そのものがこれまでより明確になったと言えます。
特に25年度を待たずに「早期達成を目指す目標」が挙げられ、訪日外国人旅行消費額5兆円、国内旅行消費額20兆円と設定されました。政府としては、総旅行消費額25兆円を一日でも早く達成することが最重要であることを明確にしたのです。これは企業や事業者の売上目標と同じであり、観光施策として単純に旅行者数を増やすだけでなく政府が稼ぐ意欲を本気で出したメッセージであると受け取れます。
03年当時の小泉首相が「観光立国宣言」を行った後、政府が観光施策として最も声高に叫んできたことは消費額増加よりも、「訪日外国人旅行者数6千万人の達成」という旅客数の増加でした。それが今回の素案では…
(山田桂一郎=まちづくり観光研究所主席研究員)
(トラベルニュースat 2023年2月25日号)
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