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日本のサービス収支 外資系への流出が赤字生む

前回、日本のインバウンド市場成長の根拠として、コロナ禍前2019年の訪日外国人旅行者数3188万人の達成よりも、旅行収支を2012年▲1兆69億円から10年後の2022年には1兆4303億円の黒字にまで大きく転換させたことを指摘するとともに、旅行収支黒字化の要因の一つとして日本人が海外旅行に行かなくなったことを説明しました。

過去10年間で旅行収支を黒字化させた反面、その他サービス収支に関しては、12年▲1兆9026億円から▲5兆7797億円へと赤字が3倍弱にまで膨らんでいます。10年間で約3・9兆円も赤字を拡大させた要因となったのは「デジタル、コンサルティング、研究開発」の支払い額が急増した結果です。

その中でも、「通信・コンピューター・情報サービス」の赤字が約1・4兆円(▲2892億円から▲1兆6610億円)と4割弱を占めています。デジタル関連では、アメリカの巨大IT企業が提供するSNS、OTAなどのプラットフォーム、クラウドサービスとネット広告費の支払い額が大幅に増加しました。

「専門・経営コンサルティングサービス」は、14年度(12年度のからの統計がなく、入手可能なデータとしてもっとも古い)と比較すると赤字が約1・4兆円(▲4585億円 から▲1兆8744億円)へ拡大しています。最大の脅威は、日本で事業を拡大した外資系コンサルティング企業です。日本国内における売上(デジタル関連含む)の一定割合を上納金として本国へ送金しています…

(山田桂一郎=まちづくり観光研究所主席研究員)

(トラベルニュースat 2024年1月1日号)

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