国内旅行の現状 物価高に無関係な層ねらう
7月も下旬となり、夏の観光シーズンがピークを迎えようとしています。この時期になると様々なメディアが連日のように観光地の様子を取り上げ、各地の動向を伝えています。
ただし、話題になるのはインバウンド関連が圧倒的に多く、国内旅行に関しては連休や大型イベントがなければニュースとして取り上げられることもありません。確かに昨年5月の新型コロナウイルス感染症に関する水際対策が緩和されてからインバウンド市場は急回復していますが、国内旅行に関しては物価高や所得の伸び悩みなどの影響もあり、順調な回復とは言えない状況が続いています。
実際、今年のゴールデンウイーク中の人流調査の結果を見ると、訪日外国人旅行者を除く国内居住者に限った人出は、全国主要都市の駅周辺60地点の約88%(53/60地点)で前年よりも減少しています。最も落ち込んだのは札幌市で▲15・8%。日本人にも圧倒的な人気を誇る京都市が▲7・7%、新宿でも▲5・7%でした。増加したと言えるのは北陸新幹線の延伸効果があった福井ぐらいです。
日本人の旅行動向に関しては「旅行に対する今の気持ち=国内旅行・海外旅行への意識調査(日本国内に居住する20歳以上の男女1万人:JTB総研)」の調査結果(2024年3月実施)によると、国内旅行が48・3%、海外旅行は8・7%の計57%が年内の旅行を予定しています…
(山田桂一郎=まちづくり観光研究所主席研究員)
(トラベルニュースat 2024年7月25日号)
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