春節に思う 多様化進む中国人市場
冬になると日本のマスコミがこぞって取り上げるインバウンドのネタとして、中国の旧正月・春節時期に増える中国人旅行者の動向があります。最近はテレビや雑誌などでも春節に合わせた特別番組や特集を組むところも増えてきました。今年の春節は1月28日から2月4日までの8日間に渡る大型連休となったことで、多くの中国人が世界各地へ長期旅行に出掛けています。中国政府からも今年の春節時期には国内外で延べ90億人が移動するとの公式発表までありました。
実際、私が同時期に欧州各地で見かけた旅行者の中で一番目立っていたのも中国からのツアー客でした。特に、誰もが知る観光名所や都市部のブランドショップに大挙して押し寄せている様子を見ていると、昭和時代の日本人団体ツアーを彷彿とさせるものがありますが、その熱量は当時の日本人パワーとは比較にならないほどの強さを感じます。その強烈なチャイナパワーに他国からの観光客は完全に圧倒されています。
現在、日本のインバウンド市場における中国人旅行者の存在は年々大きくなっています。今年1月の訪日客数でも中国が最も多く、98万300人で前年同月比135・6%増でした。増え続ける中国人旅行者の影響については、都市部や有名観光地、アニメの聖地などでの増加現象がオーバーツーリズムの原因と言われることがあります。しかし、他方では中国人旅行者をほとんど見かけない地域も存在しており、場所や業種によってはその影響が及んでいない場合もあります。
消費動向に関しては、近年の中国経済の減速の影響で旅行消費に向かう余力が以前に比べて減ったとは言われつつも、従来のトレンドであった爆買いなどのモノ消費から…
(山田桂一郎=まちづくり観光研究所主席研究員)
(トラベルニュースat 2025年2月25日号)
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