5分間と一期一会 旅の味わい深化論
2018年5月15日(火) 温泉は単なる風呂ではなく泉質や風情を味わうものなので、私はいつもグルメに例えて説明します。食事でも早食いの人と遅い人がいますが、温泉はカラスの行水から長風呂まで本当に多種多様。中には、5分間の入浴で泉質的特徴を完全に把握できると豪語する人も。日本中の温泉に入り尽くすことを目標とするマニアもいるので、1カ所にあまり時間を割けないのでしょう。
ちなみに、数多くの温泉に入ることを「数泉」といいます。私の目標は一般的な温泉マニアとは異なり、何度でも愛用する価値ある温泉を探し出すことなので、じっくりと入るのが基本。長い入浴時間も無駄ではなく、短時間では決して把握できない温泉の良さまで知ることができると確信していますが、その具体的な説明は難しいとも思っていました。
しかし、偶然目にしたSNSの写真で、風景撮影に例えれば説明可能と気づきました。
昨春の北海道旅行最大の目的地、京極町営牧場の一本桜で、私と同じ日に撮影したのにまったく違う写真をSNSで見て驚きました。
背景の羊蹄山が朝焼けで真っ赤に染まった一瞬を捉えており、朝霧や雲海も発生した幻想的な作品だったのです。同じ時刻に、私は壮瞥公園という梅の名所で撮影しており、桜に駆け付けた時には朝霧も雲海も消えていました…
(藤田聡=温泉研究家)
(トラベルニュースat 2019年1月25日号)
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