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宿として名作 ホテリ・アアルト(福島県)

2020年10月26日(月) 海や山にある宿は自然との調和が大切。オーシャンビューや高層階の客室料金が高いのは、自然を感じながら滞在したいという顧客ニーズの証明です。

この面で日本最高と思うのが、昨年宿泊したホテリ・アアルト。裏磐梯の観光名所・五色沼に隣接し、敷地内に専用の沼が2つもある素晴らしい環境です。

当初は百貨店の保養所として建設されましたが、沼側には管理人の家が建てられ、沼の価値に気付いていなかったのは明らか。某市の保養所を経てホテルに改装する際に、管理人部屋を最高金額の離れに改装してスタート。

一昨年には別館も増築され、沼満喫の宿になりました。旧保養所を北欧風スモールラグジュアリーホテルに改装した建築家の手腕が見事。しかも自然を壊さない方針を堅持しながら、足場の悪い沼際に別館を建設するとは、まさに神業です。

秋は満室続きですが、偶然空室を発見。1人1泊5万円の別館でしたが、Go toを併用し思い切って予約。北欧インテリアの良さが分かるか不安でしたがまったくの杞憂で、客室内装の素晴らしさと沼の眺望が衝撃的。心底気に入ったので翌朝には離れ難くなり、チェックアウト時には泣きたくなるほど。普段は「また来よう」と諦めもつきますが、紅葉時期は予約困難で一期一会の体験。この客室との今生の別れになるかもしれないのです。

これほど、感動的な宿を設計したのは、東京芸大名誉教授の益子義弘氏。個人的に一番凄いと思ったのは、風呂場やテラスの窓です。一般的なアルミサッシには必ず窓枠があり、全開にしても開放感に欠けるもの。

しかし、建築家が専用設計した窓には枠が皆無で、開放感抜群。出窓のように張り出して2方向が全開になる窓もあり、「こんなことが可能なのか」と度肝を抜かれました。窓だけでなく照明なども建築に合わせた専用設計で、まさに贅沢の極みです…

(藤田聡=温泉研究家)

(トラベルニュースat 2021年4月25日号)

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