公的機関も顧客に
出版物やスライド教材「客室係の一日」の販売とTMC会員への勧誘を目的に、初めて国際ホテルレストランショー(当時の会場は晴海)に出展したのは1966年(昭和41年)でした。来訪した旅館経営者に財務データ記入表を手渡し入会申込書とともに記入、郵送してくれれば分析して簡易報告書を送る「無料経営診断」が会員勧誘の目玉でした。
それ以来、希望する会員には毎年、データに基づく無料経営診断を行い、数十軒のデータが集まるので標準経営指標を毎年作成し、各会員には標準指標と比較したコメントを付して返信しました。それを含めて毎月会員に送付する資料は、ほぼ私が担当しました。
私たちは資金的に無理のある旅館の設備投資計画のお手伝いはしたくありません。そのためメンバーに余力がある一方、生産性はやや不十分です。したがって必然的に都内で営業活動ができ、コンサルタント利用に慣れていて、需要も多い公的機関に力を入れることにしました。先輩が国民宿舎協会、国民休暇村協会、公立学校共済組合を開拓し、徐々に経営診断や講演などの受注が増えてきました。私も、保養所や都市会館を持つ道府県職員や市町村職員の共済組合、農林年金、郵便貯金振興会(後のメルパルク)など、徐々に顧客を増やしました。
それによって、公的宿泊施設の経営診断や支配人会議での講演などが多くなり、旅館の場合は特定施設との顧問契約による経営全般にわたるコンサルが中心となって行きます…
(佐藤陸雄=元リーコ代表取締役)
(トラベルニュースat 2020年12月10日号)
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