「予算制度」しかない
1983年は、東京ディズニーランドが4月に開業するという観光業界にとって記念すべき年でした。
開業の前月、経済雑誌「週刊東洋経済」3月26日号に、タイトル「遊園地レジャーにアメリカン旋風」で4人による座談会が掲載されました。松田義幸筑波大学助教授、長沼修二綜合ユニコム「月刊レジャー産業」編集長、私、「週刊東洋経済」編集長です。
TDLが成功するかどうか、各自が自由に意見を述べた4ページの誌面をチェックしてみたら、40回の発言のうち14回が私で、なんだか一番多く発言していました。
このころ、温泉地では旅館が大型化して、売店、バー、クラブ、和食コーナーなどパブリック施設を充実させ、宿泊客を館内に止めてできるだけ外に出させまいと努力した結果、街を下駄履きでそぞろ歩きする客が減少して温泉地ムードが薄れ始めていました。
特定の大旅館の館内に多くの客が入っていても、土産品店はつぶれ、街には浴衣姿もまばらという傾向が主流化するのは好ましくありません。西独バーデン・バーデンの温泉保養局長も「24時を過ぎたら人通りもなくガランとしてしまうような街にはしたくない」と言っていました。中小旅館や街の商店も潤うように、例えばイベント広場を協力して設置し、夜市をはじめ通年のイベントを開催するといった地元ぐるみの誘客体制を、と82年4月の「TMCアドバイス」で訴えました。
大規模なほど自力による集客力が不足して旅行会社に頼らざるを得ず、送客手数料が大きくなり、さらに借入金依存度が高いため金利負担も大きく、利益確保が極めて難しい旅館業界…
(佐藤陸雄=元リーコ代表取締役)
(トラベルニュースat 2021年12月10日号)
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