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目標が規律を生む

私が公的宿泊施設を中心に行った数百件の経営診断で、財務内容をはじめ、褒め言葉だけの報告書を提出した唯一の案件が、85年に実施して支配人と職員の一体感を強く感じた公立学校共済組合の紀の国会館(和歌山市)です。

10年前に教員を退職後に就任した60代半ばの冨士原裕支配人は、最初の2年間、1日16時間働き、客室21室すべてに宿泊して利用客の目でチェック。婚礼、宴集会、宿泊、料飲を売上の柱とした運営は、3分の2を占める女子職員が中心です。その一部を箇条書きで紹介します。

▽支配人の一番の哲学は、働く職員の生活の安定と向上、そして働くことによって社会に貢献するという、人間としての喜びを味わってほしいということ

▽職員と一緒に目標を設定、一緒に掃除をするなど同行作業・同行教育に中心をおいてきた

▽女子を管理職(副支配人、店長)に登用

▽職員一人ひとりが経営者意識を持ち「一人三役」という考えで行動し、日常の報告、連絡、相談(ホウレンソウ)を徹底

▽事務職員は日常的にランチタイムのグリルや割烹を手伝い、婚礼のある日は宴会場の手伝い。ボイラーマンが婚礼料理の折り詰めを行う…

(佐藤陸雄=元リーコ代表取締役)

(トラベルニュースat 2022年2月10日号)

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