立教大学大学院観光学研究科
大学の観光学科といえば立教大学、その教師といえば観光学会のドンといわれた岡本伸之先生(残念ながら2023年4月に逝去された)。岡本先生は2000年度に日本の大学院に初めて観光学部を設けたことが週刊誌でも報じられた方だ。
01年11月のある日、事務所に先生から電話が入った。「今からメールを送るので、アドレスを教えてください」。
用件は「02年度上半期に週1回90分、大学院で非常勤講師として授業を受け持ってほしい。初年度は私が担当して、初日は導入、最終日は締めくくり。約20日は、旅館・ホテルの経営者や総支配人、旅行会社・交通機関等観光関係企業の管理職等をゲストに招いて、45分講演していただき、45分を質疑応答に充てた。しかし佐藤先生は「全部一人でやってほしい」とのこと。
大学院生相手に、まして民間企業や長野県庁での講演等を紹介していただいた岡本先生のご依頼となれば、喜んでお受けせねば。東武東上線志木駅付近で夏休みを除いて朝9時から毎週とれる日程は、土曜日しかない。
どの授業を受けるか選択する院生で賑わう新年度最初の日、岡本先生から直接紹介された韓国人女性に「なんで僕の授業を選ぶの?」と尋ねたら「先生、有名ですから」と。院生は、大学生から上ってきた人と勤務先に認められた社会人、男と女、日本人と外国人(アジア人)がそれぞれ半々の感じ。
1年目は観光事業全般がテーマであり、私の講演中心の授業で終えた。
2年目のテーマは実務に近い「観光事業計画」で、池袋と新宿に実在するビジネスホテルを立地と想定した経営をテーマとし、十数名の院生を2チームに分け、自分たちならどう計画するか、立地からみた客室数ほか施設内容、設計プラン、収支計画など1年勉強したが、時間が足りなかった。2年目は朝5時起きが辛くなり、3回に1回は学校近くのビジネスホテルに宿泊…
(佐藤陸雄=元リーコ代表取締役)
(トラベルニュースat 2024年7月10日号)
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