民泊新法施行から3年 今後の行方は—
住宅宿泊事業法(民泊新法)施行から6月15日で3年が経過する。
コロナ禍による事業廃止により届け出住宅数は2020年4月の2万1385件をピークに減少しており、21年5月には1万9006件に。特にコロナ前はインバウンド需要が市場をけん引していたが、コロナ禍によるインバウンドの蒸発で日本人旅行者への一棟貸しやテレワーク利用などに需要がシフト、市場の急変により特に都市型民泊の撤退が相次いでおり、これまでに事業廃止件数は9964件となった。
一方、観光庁は民泊新法の付則にある3年経過時の見直し条項を踏まえ、施行状況を検証するとしている。民泊を取り扱う住宅宿泊仲介業者およびOTAの団体である一般社団法人住宅宿泊協会(JAVR)からは、すでに意見書が提出されている。要約すると−
ア.条例の制定趣旨の明確化=地域によっては条例によりほぼ住宅宿泊事業が行えなくなっている。法の趣旨を踏まえて過剰な条例の検討をお願いしたい。
イ.オンライン申請手続の推進=未だにオフラインでないと申請ができない状況があり、DX化の推進をお願いしたい。
ウ.消防法による規制の見直し=すでに合理的な規制の見直しが行われているが、現場での徹底がなされておらず間違った指導が散見される。現場への周知徹底をお願いしたい。
エ.廃棄物の処理および清掃に関する法律による規制の見直し=住宅宿泊事業の廃棄物は事業ゴミの扱いとなっているが地域によっては少量ということもありゴミ収集事業者と契約できない場合がある。その場合、有償で家庭ゴミ収集での対応をお願いしたい。
オ.食品衛生法による規制の見直し=家庭料理、郷土料理など、暮らしを感じる食文化を提供するには食品衛生法により飲食店の登録が必要であるが、住宅宿泊の場合、ハード要件(シンク2台以上、トイレ2室以上など)のハードルが高く、ソフト要件(管理者研修など)を徹底するなどによる規制の見直しをお願いしたい。
カ.特区民泊および旅館業許可物件への規則性ある付番の設定=業法それぞれで付番されており、宿泊施設横断的かつ規則性のある付番を付け、DX化を推進してもらいたい。
−などを提言している…
(百戦錬磨・観光創生班)
(トラベルニュースat 2021年6月10日号)
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