「地旅」の時代到来
国内市場、インバウンド市場はようやく戻ってきた。反転攻勢の大チャンスである。ただ、残念ながらコロナ禍3年のダメージは大きく、資金、人材ともに困窮している現状では、今までのビジネスモデルだけでの回復は明らかに難しい。
しかしながら、コロナ禍において、多くの旅行会社がビジネスモデルの転換を図ってきた。既存ビジネスとはまったく違った分野へ進出する場合もあるが、多くは既存ビジネスの知見を活かしつつ、新たな領域に挑戦している(ワクチン接種、DXプラットフォームなど)。
また、いわゆる発地ビジネスだけではなく、着地ビジネスであるランドオペレーターに転換しようとしているところも多い。
地方の自治体やDMOと連携して、着地型商品の造成やその商品を使ったモニターツアーなど、地域側からのプロモーションや販売を行っている。「観光は地域のため」の考え方で、地域関連の観光予算措置もあり、今までの知見を活かす機会が増えていることも影響しているだろう。コロナ以前より明らかに地域側、着地側のビジネスチャンスが増えているのは間違いない。
そこで「地旅」である。
まさに時代が追いついてきた。コロナ禍を経て「地旅」がメインを張れる舞台ができあがった。
とはいえ、概念、コンセプトとしての「地旅」は良いとして、具体的なマーケティング、販売手法、オペレーションなどなど、現在の市場にマッチしているだろうか。現在の販売状況を踏まえると、特に販売手法を今一度見直すタイミングではなかろうか。
昨今は地域体験分野も宿泊のOTA同様、インターネット経由が主流であり、すでにいくつかのプラットフォームが存在する。
「地旅」独自のプラットフォームで売り切れるならそれが最も良いが、インターネット市場では販売プラットフォームをつくっただけでは売れない。プラットフォーム自体に旅行者を集める施策を講じることが必須であり、大いにコストのかかることである…
(百戦錬磨・上山康博)
(トラベルニュースat 2023年3月10日号)
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