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ニセコは「バブル」ではない

久しぶりにニセコを視察した。

前回の視察はまだコロナ禍の影響が残るころで、インバウンドが戻っていないこともあり今ほどの活気を感じることはなかった。ただ、前々回、前回、今回で共通していることは着工済みの工事現場がすべて前回に増して拡大していることである。これはデベロッパーの投資意欲が益々旺盛であることの証左である。

外国人投資家から見れば、ニセコはスノーリゾートとして日本の聖地的ポジションでありながら、世界のスノーリゾートと比べれば未だに割安感があると認識している。それゆえに、デベロッパー各社はインバウンド向けの宿泊施設やマンション開発を相次いで進めている。

既存のインターナショナルホテルチェーンが運営している施設は分譲物件が多く、ある施設では半分以上が東京在住の日本人がオーナーだという。これはインターナショナルホテルチェーンの信頼度によるものであろうが、手堅い日本人らしさが感じられる。

片や、幾つかの独自ブランド施設はオープン時点では主に海外投資家に分譲しており、オープン時点の分譲は投資金額相当分回収のみの部分販売であり、施設としての運用益を示した後、さらに分譲金額を釣り上げた上で残在庫を販売している。それでもしっかりとした運用益が出ているのなら購入するのが海外投資家であるようだが、世界市場から俯瞰すると単に割安感のあるスノーリゾートに投資をしているだけともいえるようだ。

ニセコに関して、日本国内では総じて「バブル」ではないか、と案じる声が多いが「バブル」は実態を伴わない景気ということであり、その意味ではニセコは決してバブルではない。

ラーメン1杯2千―3千円が普通に通用している物価の高い外国の市場経済が、ニセコに存在しているといえる。経済特区、出島のようだ…

(百戦錬磨・上山康博)

(トラベルニュースat 2024年4月10日号)

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