富裕層市場ねらう 1泊10万円の新旅館(4)
◆ツーリズムマーケティング研究所・井門隆夫さんの話
カトープレジャーグループ(加藤友康CEO)が箱根(翠松園)と熱海(熱海ふふ)で高級旅館を開業した背景には、旧態依然と18時の会席客ばかりを狙う既存旅館をだし抜き、「平日に仕事が終わってから温泉に行く現役エグゼクティブ層」を狙っているからにほかなりません。夕食ラストが21時からというのを見ても、東京から1時間圏内という立地を見ても明らかです。
平日休みのDINKS 井門隆夫さんの話
つまり、サービス経済化により、平日に1日休みがつくという生活スタイルが増えるとともに、可処分所得も十分なDINKSこそがプチ富裕層なのです。
伊香保でも、そうした現役需要も取れるのではないかと思います。平日に誰を取るかで自ずと旅館の性質が見えてきます。
旅館の世代交代や今後の戦後世代中心市場を見据え、福一という老舗百貨店が高級専門店を開業した趣旨は、2軒で(要員面や営業面で)相互補完のできる業態を持つことで、より安定した経営を目指そうということだと理解しています。
日本の富裕層人口は148万人 メリルリンチが調査
米国投資銀行のメリルリンチの調査によると、富裕層といわれる、不動産などを除く純金融資産100万米ドル以上を保有する日本人個人は、2006年末で前年より5・1%増えて148万人。
また、目をアジア太平洋地域に広げると、域内の富裕層個人は06年の1年で8・6%増加し260万人。保有する資産は日本と中国に集中しており、両国で全体の6割を超える。
富裕個人の増加率でも、世界の国別増加率の上位10カ国のうち5カ国がアジア太平洋地域の国で構成されており、特にシンガポール、インド、インドネシアは06年にそれぞれ2割前後の高い伸びを示した。
純金融資産3000万米ドル以上を保有する超富裕層の割合は中国に多く、アジア太平洋地域では日本と中国がそれぞれ3割弱を占めている。
(トラベルニュースat 08年2月10日号)