旅行業・新しいビジネスモデルの確立 JATA経営フォーラム08から(3)
旅行会社の存在意義は何かというテーマを掲げた分科会Dは、ツーリズム・マーケティング研究所の高松正人さんをモデレーター、ホテル石風の風間秀一さん、日本政策投資銀行の藻谷浩介さん、野村総合研究所の森沢徹さんの3氏をコメンテーターに迎えた。
旅行会社の存在意義とは アイデア出し合う 分科会D
この分科会では、抽選で8つに分けられた参加者がグループワーキングを通してテーマに対する答えを導き出す全員参加型の形式が採られた。
グループワーキングに先立つ導入部分では、森沢さんが経済学者マイケル・ポーターの提唱した業界分析の手法である5つのForcesを用いて、買い手の交渉力、売り手の交渉力、新規参入の脅威、代替品の脅威、競争企業間の関係という5方面から旅行業界を分析し、現状は構造的に非常に収益性の悪い業界であると指摘していた。
藻谷さんは、お金と時間に余裕のある世代として自分の父親とのメールのやり取りを示しながら、わがままで移り気なこの世代の細かなニーズに応えることが旅行会社がやるべきことなのではと提言した。
グループワーキングでは「旅行会社でなければできないこと」についての答えを導き出すために、各人が旅行会社がなすべきアイデアを考え、そのアイデアが旅行会社でなければできないのか、旅行会社でも旅行会社でなくてもできるのか、旅行会社ではできないのかを話し合いながら模造紙の上で分類するという作業を行った。
慣れない作業に戸惑いながらも、話し合いをしながら頭の整理ができ、活発に話し合いが進んでいるグループも見受けられた。
意見発表では「旅行に関する情報を抱える旅行会社ならではの旅行相談業務こそ旅行会社がやるべきである」、「個人がインターネットで宿や交通手段を直接予約することが主流になった今でも、個人が手配するのは難しく手間のかかる部分、現地を知るガイドの手配などは旅行会社でなければできない」、「医療関係など他業種とタイアップした旅行商品の開発」などの意見が出された。
(トラベルニュースat 08年3月10日号)
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