観光地でも路上禁煙(2)
岐阜県高山市で、今年4月1日、観光客が多いエリアの路上を禁煙とする「高山市ポイ捨て等および路上喫煙禁止条例」が施行された。
古い町並みや海水浴場が禁煙 高山、熱海市
JR高山駅から「古い町並み」を結ぶメーンロード3本、古い町並み内の道路、古い町並みから桜山八幡宮方面を結ぶ道路など、総延長10キロが路上喫煙禁止の対象となった。
路上喫煙の禁止は、古い町並みなど木造建築が多い地域の防火や、歩きタバコによる子どもへの危害、副流煙被害の防止という狙いもあるが、条例の1条では、はっきりと「国際観光都市にふさわしい環境整備に資する」と、観光地の環境改善が目的であるとしている。
現在、市ではイベントなどの際に、市職員3人が路上喫煙禁止エリアを巡回し、規則の周知や指導にあたっている。4月14、15日に行われた春の高山祭では、喫煙していた38人を口頭で注意。「知らなかった」という人がほとんどで、いずれも協力的だったという。
1年の周知期間の後、来年4月1日以降は違反者から1000円の罰金を徴収する。
高山市環境課では「7月までに、英語、韓国語など4カ国語でチラシや看板をつくることにしています」と、条例の周知に努めることにしている。
ちなみに、高山市には年間435万人(宿泊者は219万人)が観光目的で訪れ、このうち外国人旅行者は13万2000人を占めている。
静岡県熱海市は、路上に加えて海水浴場を禁煙とする、「熱海市路上等の喫煙防止に関する条例」、通称、熱海サンビーチ等禁煙条例を05年6月に施行した。
海水浴場を条例で禁煙にしたのは京都府の旧網野町(現京丹後市)に続き2番目とされる。旧網野町では鳴き砂で知られる琴引浜を禁煙にした。
熱海市の条例は市内全域を対象とした路上禁煙と海水浴場の禁煙の2本立ての規制で、路上禁煙が罰則のない努力義務なのに対し、海水浴場での違反者には指導、勧告、氏名の公表といった罰則を設けている。ただし、熱海市市民生活課によると、「条例施行後に氏名公表に至った例はありません」とのこと。
当初、熱海サンビーチと、ウッドデッキなど周辺遊歩道を禁煙エリアに指定していたが、海水浴客から好評だったことで、07年からは市内全4カ所の海水浴場に禁止エリアを拡大している。喫煙者は、各海水浴場に1―4カ所設けられている喫煙場所を利用している。
熱海市では禁煙推進協議会をつくり、市の職員などで夏休み期間中に10日間程度巡回するほか、花火大会などでチラシやティッシュを配り禁煙の周知に努めている。
熱海市市民生活課では「巡回していると、来年も海水浴に来ます、禁煙を続けてください、といった言葉をいただきます。安全、安心な海水浴場を目指して取り組みを継続していきます」と話している。
(トラベルニュースat 08年5月25日号)
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