観光立国推進計画 目標数値の1年後(3)
「3」の国内旅行総消費額の目標値30兆円については06年度、前年度を1・4%下回る23兆5370億円だった。これは、訪日外国人旅行消費額の推計方法をより正確になるよう改めたため。
「3」 マーケット次第の30兆円
国交省では「旅行市場が活性化する如何にかかっている」としているが、地球温暖化への意識向上や原油高を背景に「公共交通機関を使う旅行が増えることで国民1人あたりの交通費は高くなり、全体を底上げするかも」という見方もある。ただ、その場合でも旅行消費で一番大きなウエイトを占める宿泊数がどうなるかがポイントだ。
「4」 特効薬が見当たらない4泊
観光立国推進基本計画では10年度に「4」、国民1人あたりの国内観光旅行の宿泊数を4泊にするよう目標を掲げているが、07年度は2・47泊で前年度を0・25泊下回った。05年度の2・89泊から2年連続で減少したことになる。
政府では10月の観光庁発足に合わせて施行する滞在観光促進法、いわゆる「観光圏整備法」を打ち出すが、これとて即効性があるわけではない。「高速交通網をどんどん整備して日帰り圏を拡大することに精を出し、国の政策に一貫性がない」(ある地方の旅館経営者)と憤るのも無理からぬ話だ。
これまで見てきた1234は、いずれも観光業界内だけで達成するには、あまりにも外的要因に左右されやすい。有給休暇や長期休暇の取得を社会現象として促進していくほか、グローバリゼーションに名を借りた食糧や原油への投機抑制などが求められるのかもしれない。国交省幹部がいう「特効薬はない。漢方薬を処方し、体質改善を図っていく」のが本音だろう。
観光立国と掲げているが、国民や他産業でどれだけの人が「12345」を知っているのだろうか―。
(トラベルニュースat 08年7月10日号)