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観光がつなぐ タクシーと旅行者(2)

JR西日本が展開するタクシー観光プラン「駅から観タクン」。駅前タクシーを利用して観光地周遊が楽しめ、2007年4月に岡山で登場した。鳥取、山口、福井でも実施し好評を得ている。

JR西日本の「駅から観タクン」

同社の観光地開発には、地元と共同で取り組む中で運輸業としての役割を果たすという前提で(1)駅からの2次交通をいかに便利にするか(2)観光地の魅力をいかに光らせるか(3)この魅力をわかりやすく伝えるための素材を揃える―という3つの考え方がある。

2次交通についてはバスも考えられるが、観光客が集まりにくいから開発に取り組むのであり、一定の乗客数が必要なバスを走らせるとなると補償を誰がするかなど課題は多い。

そこで目をつけたのが駅前のタクシー。営業本部観光開発室は、岡山で昼間2時間の客待ちをして、ようやく1千円ぐらいの売上という話を聞いた。タクシーなら、もともとそこにあるものなので誰も補償がいらない。地元のタクシー業界や行政などと協力しながら「皆でつくっていく観光素材」として「観タクン」開発につなげた。

地元に提案すると倉敷コンベンション協会、中国運輸局から賛同を得てタクシー協会、県、コンベンション協会、JR西日本で協力して取り組むことになるなど地元の観光関係者との協力体制も築いた。

JR西日本が宣伝材料を作り地元が実行する。周遊先も時間も決まっているので、運転手はコースを走ればいいだけで観光案内も何もしなくていい。その代わり、どのタクシーに乗っても同料金で同サービスを提供する。「仮にお客がゼロでも、運転手さんは通常通りの業務をするだけで損はしません」(観光開発室の岩城弘明担当室長)。「だから地元にはデメリット、リスクがなく、お客様、タクシー、地元の『三方よし』となるわけです」(営業本部の室博部長)。

岡山ならタクシーを通常2時間利用すると9800円が、観タクンなら4900円。2時間待って1千円だったことを考えるとタクシー側にもメリットがある。旅行客も駅で思いついたらその日に、簡単に利用できる。

コースは地元が設定している。売れなくても何も起こらなかったのと同じという考えで、通常では観光コースに組み込まないスポットを採り入れるなど一風変わったコースも用意した。今までバスを走らせようにも、お客が集まるか見当がつかないので怖くて走らせることができなかったところを組み込めるのも、地元から見た観タクンの利点だ。

岡山ではすでに1千件以上の利用があり、地元での評判も上々。他の3地域でも好評で、兵庫が来春のDCに合わせて実施するほか、東日本の東北エリアでも声があがっているという。

(トラベルニュースat 08年9月10日号)

観光がつなぐ タクシーと旅行者(3)に続く

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