日本温泉協会、創立80周年記念しイベント(3)
式典を挟み2日間にわたって、世界の温泉事情についての研究発表が行われ、中国、台湾、韓国、キューバ、ハンガリー、イタリア、ルーマニア、ロシア、チュニジアの事情が紹介された。
世界の温泉・・・韓国は80年代から急増、医療・健康増進の欧州
このうち韓国、イタリア、ルーマニア、ロシア、チュニジアの温泉利用状況を聴講したが、温泉をレジャーに利用する日本型の韓国、医療・健康増進目的に利用するヨーロッパ、健康増進と地域発展を目的とする、両者の中間型とも言える温泉新興地のチュニジアと、各国での温泉利用に特徴が現れていた。
韓国からは1980年代以降の温泉の目覚しい利用状況が報告された。日本の法律を模した温泉法を81年に、保養温泉制度を95年に制定。当初14カ所だった温泉地が現在は404カ所に増え、年間の温泉利用者も1千万人から4千万人以上に急増していることが報告された。
また、人気の温泉施設として、屋内外の48の浴槽やジャングル風呂で、一度に4千人が利用できる浴場施設に、8千人以上が利用できる屋内外温泉プールや人工スキー場、5千人を収容できる常設ステージを併設した施設を紹介していた。
イタリアからは90年代以降のメディカルツーリズムの進展に伴い、温泉施設の運営に高度なマネージメント力が必要になり、それまで大部分が国営だった温泉施設の民間移転が進んでいる現状が報告された。メディカルツーリズムによる温泉利用といっても、スライド写真で見る温浴施設は浴槽から湯口の形状、照明1つをとってもデザイン性に優れ、ファッションの国としてのブランド力を感じさせるものだった。
ルーマニアからは心臓、腎臓、呼吸器、外傷など、治療の対象ごとに適した温泉リゾートが決まっていることなど、ロシアからは温泉治療の禁忌症といわれてきた腫瘍について、術後の治療や患者の生活の質の向上に温泉利用が始まっていることなどが紹介された。
(トラベルニュースat 09年11月25日号)