観光予算も"仕分け"(2)
観光庁の概算要求で事業仕分けの対象になったのは3つ。いずれも第1ワーキンググループで行われた。
休暇促進は「大幅な縮減」 観光圏整備事業は前年並みに
「休暇取得・分散化促進実証事業」は、休暇制度に関する社会実験を全国10カ所で行おうというもので7千万円を要求していた。
結論は「大幅な縮減」。仕分け人からは「これまでにない取り組みであり、どのような成果があがるのか見極めたい」「啓発としては意義がある」「家族の時間作りには期待する」などの意見が出た反面、「目的がわからない。所管違いではないか」「観光と休暇の因果関係はあるが、仕組み作りの第一歩としては説得力に乏しい」といった厳しい声が大半だった。
その結果「休暇取得・分散化については観光に寄与すると思っているが、仕組み作りの第一歩として事業自体の在り方の再検討をお願いしたい」とし、事実上差し戻されることになった。
「観光を核とした地域の再生・活性化事業」は、いわゆる観光圏整備事業で、国の補助率を4割から6割に引き上げ、圏域全体の観光案内所の整備や歴史的建造物の復元などハード整備も対象とし31億5千万円を計上していた。
この事業でも仕分け人の多くは、観光の重要性の認識を示しながらも厳しい意見が相次いだ。「国の施策として不要。各公共団体や民間事業者が自主的に取り組むべきことである」「6割補助は高すぎる。新たな採択を増やすより、すでに採択されている箇所について検討をすべき」などで、仕分け人の根底には「国のやるべきことなのか」という面で一致していた。
仕分け人13人の判定は、廃止4人▽予算計上見送り2人▽予算半額1人▽8割縮減4人▽4割縮減1人▽相当程度絞り込む1人。結果は「80%程度を縮減」になった。
観光圏整備事業については08年度予算が2億9千万円で、そのうち1・4億円しか予算消化できていなかった。このことが「地方も事業を使いあぐねているのが実情ではないか」とされ、仕分け人の心証を悪くした。ただ10年度概算要求の8割縮減でも、08年度予算の2倍、6億5千万円になる。仕分け人のとりまとめで「(観光圏整備の支援対象を)重点化すべき」との提言もあった。
期待を込めて「半額」 訪日外客事業
前原誠司国交相が就任会見でぶち上げた「訪日外国人3千万人」に呼応して概算要求に盛り込んだ「プログラム第1期事業」は189億5千万円を要求。
第1期目標として13年1500万人を掲げプロモーション強化を目指した。現地のテレビなどの広告宣伝費が大半だ。
仕分け人からは「テレビCMに巨額な予算を投入する必要はない」「効果が不確定な広告費をもっと絞り込んで要求すべきである」などマーケティング不足とリサーチ不足が指摘された。
結論は「半額を縮減」だったが「大幅な増要求が行われた中で半額程度という評決結果となったことは、観光庁に対する強い期待の表れ」とのコメントが添えられた。
(トラベルニュースat 09年12月10日号)
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