旅行業革新への挑戦 JATA経営フォーラム(2) AIVS今どきの新入社員
リスク軽減にAIの予想を活用
「ロボットは東大に入れるかプロジェクト」を率いたことでも知られる新井教授は「今のAIは言葉の意味が分かりません。福島が地名なのか食べ物なのかも分からない。統計と確率から答えを見つけているのです」と話し、例えばアップルのシリーで「周辺で一番おいしいロシア料理の店を教えて」と「周辺で一番まずいロシア料理以外の店を教えて」と2つの質問に、同じレストランを答えると紹介した。
一方で、AIロボットは東大には合格できなかったものの、中堅以上の大学にも合格できる程度の高い偏差値を示した。「意味を理解できないロボットの偏差値が高いということは、もしかしたら、受験生も言葉の意味が分からないのでは」と考えた新井教授は、いくつかの例文をつくり「問い」を理解できない受験生が多くいることが分かったという。「皆さんの会社には、こうした意味が分からない人たちが入社してくるんですよ」と話し、著書のPRとともに、自らが研究開発を主導する「リーディングスキルテスト」を入社試験で行うよう勧めていた。
意味は理解できないAIにも、大量の統計と確率を駆使した得意分野は多い。新井教授は、インバウンドの伸びに伴う予約キャンセル率の高まりについて「相手や数量や時期などから、キャンセルの可能性をAIが予想できる」と話す。
AIの予想から、キャンセル料がかかる日を前倒しすることなどでリスクを軽減できる可能性がある。「需給に応じて旅行や宿泊料金が変わることをマーケットは受け入れています。同様に、ペナルティの取り方が変わることもありなのでは」と提案していた。
(トラベルニュースat 19年3月25日号)
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