新しい旅行スタイルの確立 全旅・中間幹夫社長にコロナ対応と“収束後”を聞く(1) コロナ後の消費者に訴求
7月下旬から、1兆1千億円の予算規模で展開が予定されているGo Toキャンペーン。国内旅行の需要回復策として観光業界の期待を集めており、全国5600社で組織するANTA会員を支援する株式会社全旅もキャンペーンの一翼を担う事業会社として予定されている。新型コロナウイルス感染症の発生から現状、そしてコロナ収束後について全旅の中間幹夫社長に書面インタビューに応じてもらった。
希望の光の先見据え
―コロナ発生時から現在までの貴社の状況と、その間に旅行会社からどんな声が届きましたか。
弊社の取り組みとして、新型コロナウイルス感染症の旅行業への影響が出始めた2月初旬に熊本県で開催予定していた「全旅インバウンド商談会」も中止を決断せざるを得ませんでした。それに合わせて、各事業会社代表者に向けて、観光行政部署ならびに保証協会などへ新型コロナウイルス感染症に対する緊急支援を要請するようにお願いしました。その結果、関係機関が緊急対応策に対して迅速に取り組まれた事例があったことは、頼もしい限りです。
また、3月2日に全旅クーポンに関わる新型コロナウイルスの感染拡大による相談窓口を開設しました。
私のもとには、連日相次ぐツアーのキャンセルに疲弊している苦しい状況の声が届きました。そのたびに、政府金融施策などあらゆる手段を講じて企業生命と雇用の維持に全力を尽くし、コロナ収束後、スタートダッシュができるように準備をしていきましょう―など鼓舞激励の言葉をかけさせていただいています。
―緊急事態宣言が解除され、おぼろげながら収束の見通しが立ってきました。旅行需要の回復をどう展望していますか。
やっと一筋の光、希望の光が見えだしたことに安堵しているところです。
ただし、新しい生活様式に沿った「新しい旅行スタイル」のツアーをスタートアップするには、観光庁をはじめ地元自治体の支援がなければ、旅行業界単体で取り組むのは非常に難しいと思われます。旅行に対する消極的イメージを払しょくするには、地域のリーダーが「ガイドライン」に沿った旅行を推奨すると宣言することが、消費者心理にとって非常に有効だと感じております。
その宣言のもと、当面は、旅行先の制約の段階を経て、FITを中心とした旅行商品の展開が望ましいと考えています。FITの動向により、旅行に対する心理的抵抗を払しょくし、グループ旅行やイベントなどに波及していくことを期待しています。ただ、我々旅行業界も大きな転換期となっていることは間違いありません。「新しい旅行スタイル」を確立し「ガイドライン」を守ることが大前提となっており、お客様に安心安全な旅を提供していくことに尽力しなければなりません。
行政、そして会社の規模にかかわらず手を携えて新しい旅行スタイルへの移行について大きな努力が必要です。
(トラベルニュースat 20年6月10日号)
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