Go Toとコロナの両立 日本旅館協会・浜野浩二会長に聞く(2) 宿泊旅行へ判断基準示す
「感染防止は経営者も従業員もすべてが当事者」
−旅行者、旅館従事者、旅行者を受け入れる地域に、どのように安心安全な旅行を提供していきますか。
宿泊業界は「宿泊施設における新型コロナウイルス対応ガイドライン」を策定しています。最新の知見を加えながら、中身はつねに最新版に改定されています。当協会会員施設では、感染防止ガイドラインに沿った感染拡大防止策に真剣に取り組んでいます。除菌、換気、ソーシャルディスタンスの確保を徹底しています。感染防止は我々経営者も従業員もすべてが当事者です。安心安全に働ける職場づくりとしての感染防止対策でもあり、従業員はとても熱心に実行しています。
Go Toトラベルが開始された7月22日から1カ月程度経ちましたが(インタビューは8月20日午前)、宿泊施設の従業員や旅行が原因とされる感染者が確認されたという報道がないのも、業界をあげて取り組んでいる感染防止対策が効果を上げているからだと思います。旅行に行くことや、宿泊することとコロナウイルス感染症の関係を冷静に考えられる材料と言えるのではないでしょうか。
派手な宴会や、どんちゃん騒ぎは自重しながら、健全な旅行で日本の風情や文化を楽しんでほしいと思います。
Go Toで地域経済に寄与
−Go Toによる地方の雇用や、地方経済への影響についてどう考えますか。
Go Toは旅館を助ける施策だと言う人があります。確かにお客さまがいなくなり宿泊施設はとても苦しい状況にあります。ただ、Go Toが本当に助けるのは地域経済です。観光産業の裾野はとても広く、農業、漁業といった第一次産業から、飲食店や土産物屋など商業施設、タクシー、バス、レンタカーなどにも影響は及びます。
例えば観光客が激減した北海道で何が起こったか。消費者がいなくなり毛ガニが投げ売り状態になりました。北海道の毛ガニは北海道の人が食べていたのではなく、交流人口とも言われる旅行者が食べていたんです。北海道の夕張メロンも、一時値が付かない状態になりました。北海道では「商業的農業」が芽生えてしました。農産品に付加価値をつけて、北海道ブランドとして旅行者が買うことで販路が広がりました。観光がダメになると、農業も立ち行かなくなります。観光は日本の津々浦々まで人、物、金を動かします。過疎の問題を解決できることもあります。Go Toトラベルは極めて重要な施策だと思います。
(トラベルニュースat 20年9月10日号)
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