Go Toとコロナの両立 日本旅館協会・浜野浩二会長に聞く(3) 任期中に対コロナへ道筋
「感染防止は経営者も従業員もすべてが当事者」
−旅行という楽しみの一方で、医療の現場でコロナと向き合っている人たちがいます。医療従事者にはどのような気持ちをお持ちですか。
私は田舎に住んでいるのでよく分かりますが、コロナに対しては感染症専門の医療機関だけでなく、まちの開業医まで対応を迫れることがあるのを知っています。医療従事者の献身的努力には敬意と感謝の気持ちしかありません。我々としては安心安全な旅行を定着させ、地域の経済に寄与することで責任を果たしていきたいと思います。
−厳しい状況が続く中で、国にはどのような要望がありますか。
当協会のコロナ対策本部では2つのことを検討しています。1つは雇用調整助成金と融資です。雇用調整助成金の特例については12月まで延長されることはよかったと思います。ただ、需要の回復が見通せないなか、1月以降も来年のオリンピックまでは伸ばしてほしいと思っています。地域の雇用維持という点で、雇調金には本当に助けられています。
融資については、新型コロナウイルス感染症特別貸付をはじめとする制度融資はたいへんありがたかった。ただ、協会として、各事業者が融資を受けた後の現状を検証することが必要だと思っています。さらなる融資が必要なのか。その場合は融資を受けるハードルが高くなる不安があります。また、宿泊客が戻ってきたときに借入金が経営にどういう影響を与えるかを検証する必要があります。コロナ禍では相当多くの施設が体力に合わない借入をしている可能性があります。それらを検証した上で、借入金の処理についても考えていきたいと思います。
もう一つはインバウンドの再開です。訪日客については、諦めて黙っていると回復までに非常に長い時間がかかってしまいます。まず訪日旅行はどういう状況になれば再開できるかを明確にし、検疫体制の強化をはじめ受け入れ環境を整備することが必要です。我々も一翼を担う覚悟を持って取り組みたい。その上でインバウンド誘致の強力なセールスプロモーションをしていただきたい。
−最後に、コロナ渦中の会長就任となりました。どのようなお気持ちですか。
北海道胆振東部地震があった2018年、私は当協会の北海道支部連合会長でした。道や国に働きかけ「北海道ふっこう割」の実施に駆け回りました。そして今度はコロナです。実は昨年11月に「次期会長を」という話をいただいていました。その後、今年になってコロナウイルス感染症が世界的な大流行となり「大変だな」というのが率直な感想です。
協会としては、継続的な課題として生産性向上や雇用、IT化への対応といった課題が引き続きあります。コロナ以前から、業界には変革が必要でした。ただ、当面の活動は、大半がコロナ対策です。任期の2年では終わらないだろうと思いますが、できるだけ多く解決し、道筋を付け、次への負担が少ない状態でバトンを渡したいと思っています。
(トラベルニュースat 20年9月10日号)
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