震災10年、さらに挑戦 福島県旅館ホテル組合理事長・小井戸英典さん「コロナ禍で新しい価値を創る」(2)
復活へ歩み−国内客誘客へ挑戦の日々
−2010年比でいわき湯本温泉の宿泊者数はどうですか。
コロナ前で6−7割くらいまで回復していた状況です。15年から台湾の誘客に力を入れていましたが、昨年はすべてキャンセルになりました。Go Toトラベルで昨年11月は前年並みまで回復しましたが、今は振り出しに戻ってしまいました。Go Toトラベルがなかったら廃業していたかもしれません。
今は国内客をどうつかむかです。再開後のGo Toトラベルを安売りの感覚で利用するのではなく、付加価値をつけ新しい客層を得る機会にしていきたいですね。利用者の健康志向に応え、免疫力強化に温泉療養といったことを打ち出すような挑戦する機会だと考えています。各旅館が独自プランで独自のリピーターを生み出していければと思います。
−館内にバーをオープンし、宿泊プランもチャリ派応援、コスプレ応援、ワーケーションと多彩に展開していますね。
震災後、いろいろ考えて、やはりこの土地で商売を続けていくという決心をして14年に館内を改装しました。その時、1階に外からも入りやすいバーをオープンしました。ロードバイクは震災後の新しい趣味で、それもあって和室の客室にサイクルラックをつけたりしました。女将には叱られましたが。いわき市の沿岸に50キロのサイクリングロードが年度内にできる予定で、サイクリングにはもっとフォーカスしていこうと思っています。
コロナ禍ということもあり3・11の特別な企画はありませんが、地元の古滝屋に「原子力災害考証館 furusato」史料館が開館します。震災を風化させない施設として多くの方に見ていただきたいと思っています。

60年代、炭鉱の町からフラと温泉の町に
生まれ変わったいわき湯本温泉。
東日本大震災後に旅館女将たちは「フラ女将」を結成し、
着物姿のフラダンスで来訪者を迎えるイベントなどを行っている
(トラベルニュースat 21年3月10日号)
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