コロナ禍の協働体制へ 兵旅協・協力会トップ対談(1) 地元旅行会社と地元旅館がタッグ
兵庫県旅行業協同組合(兵旅協、門田基秀理事長=国際旅行)は、今年2月に開いた総会で門田理事長を再選し、兵旅協契約機関協力会の新会長には兵庫県城崎温泉・西村屋ホテル招月庭の西村総一郎社長を選出した。新型コロナウイルス感染症の拡大が続くなか、地元旅行会社と地元旅館がタッグを組む体制が組合創立後初めて構築された。兵旅協と協力会をどのような舵取りで難局を乗り越え、前へ進んでいくのか、お2人に話を聞いた。
「まる得ユニット」に活路
―兵旅協は1975年に全国初の旅行業の協同組合として72組合員でスタートしました。昨年11月に創立45周年を迎えましたが組合員は17社となりました。この点はどのように捉えていますか。
門田 コロナ禍もありますが、組合員の減少は魅力ある事業ができなかったこと、協同組合に入っているメリットを生み出せなかったことが原因だと捉えています。17社になりましたが少数精鋭で力を結集し、今年度はいろいろなことに取り組もうと思っています。
―協力会に地元の西村新会長を迎えることができましたね。
門田 力強いです。協力会は79年に契約旅館協力会が発足し、初代会長に山口県・長門湯本温泉の白木屋グランドホテル(当時)の白木邦彦さんにお願いし、そのあと愛媛県・道後温泉の古湧園(現ホテル古湧園遥)の新山和臣さんにご就任いただきました。2003年には旅館協力会と食事観光施設連絡協議会、運輸連絡協議会の3者が一つになり、現在の契約機関協力会ができました。会長には高知県の城西館の藤本正孝さんにお願いするなど、これまで協力会の会長には旅館業界の重鎮の人たちにご就任いただいてきました。
今までは兵庫県外の旅館の方々に会長をお願いしてきましたが、創立45周年の節目に、初めて兵庫県を代表する旅館である、西村屋ホテル招月庭の西村さんに会長になっていただいたことは、身が引き締まる思いです。
―会長を決断された理由は。
西村 まずは門田さんがJCの先輩であったことですね。また、母が門田さんと同じ姫路出身で親せき筋も多いことや、当社の事業が姫路や兵庫県内での展開が増えてきたことなど兵旅協の存在を身近に感じることができたからだと思います。
―兵旅協の事業で興味を持ったことは。
西村 まだ会長に就任したばかりであまりわかっていないので教えをこわなければなりませんが、兵旅協が大阪と京都の協同組合と共同販売している「京りょまる得ユニットプラン」には関心があります。
大手旅行会社と対抗するという意味ではなく、このユニットプランを紙媒体だけではなくて、ウェブでも在庫連動型で管理するなどができないかな、と。また、今までのルールが本当にいいのかもご相談したいです。団体やグループを対象に固定的な手数料率ではなくて、繁閑によって2―3%程度の上下に変動させることができるようにするなどして、旅館と旅行会社がともに利益を得ることのできるシステム構築を考えたいですね。
中小旅行会社の皆さんは地元のお客さんとの信頼関係が深いので、旅館と旅行会社さんが求めていることがうまくマッチできることを模索したいと思います。
門田 まる得ユニットプランは我々にとって非常に売りやすいので、兵旅協でも独自の商品を造れば組合の存在価値も高まるので、何か取り組みたいですね。
―京都の組合では「じも旅京都」という京都の旅行会社が京都を深く掘り下げたツアーを造り、評価を得ています。
門田 京都は独特の歴史をもっているからできるのかもしれませんが、兵庫県でもそういったことができないかなと思います。阪神淡路大震災のあと、着地型旅行を組合で造ったという実績がありますからね。
(トラベルニュースat 21年4月25日号)
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