雇用を守るために 協同組合大阪府旅行業協会、パソナと連携で「在籍型出向」(1) “ポジティブな出向”で雇用維持
3度目の緊急事態宣言が発令されるなど旅行需要の回復は見通せない状況が続く。特に雇用調整助成金特例措置の期間延長なども不透明で、旅行・観光業界で働く従業員の雇用をどう維持していくのかは喫緊の課題だ。そうした中、大阪府下で営業する約100社の旅行会社でつくる協同組合大阪府旅行業協会(OATA、鈴木隆利理事長)が、組合として「組合員の旅行会社で働く社員を守る」方策を検討し始めた。
淡路島リゾート施設へ期間限定で就労と研修
OATAは5月13日、パソナグループ(以下パソナ)のキャリアコンサルタント前田知子さんを招き、同グループが兵庫県・淡路島で展開するリゾート施設で行っている「フレッシュキャリアアッププログラム」の説明会を行った。
プログラムは、パソナが今年4月、緊急雇用対策として新たに設けた。概要は、産業雇用安定助成金を活用し、自社に在籍したまま従業員をパソナが受け入れる「在籍型出向」。週5日のうち、4日は淡路島内の施設で働き、1日はパソナが用意した「イノベーション講座」「地域活性化マーケティング」「農業フィールドワーク」など豊富な研修プログラムを受講する。
就労先はレストランやグランピング、アニメパークなどパソナが展開する施設のサービススタッフが中心。できるだけ本人の希望に沿うようにする。住居をはじめ充実した生活環境などはパソナが負担し提供する。助成金と組み合わせることで、出向元の負担は大幅に軽減される。
前田さんは「ただ働くだけでなく、教育研修があることが特徴です。新しい価値観などイノベーションマインドを出向中に醸成していただきます。若手社員にどういったスキルを身につけてほしいのか、ポジティブな出向と捉えてください」とプログラムの利点を説明した。
前田さんによると、休業が続き若手社員の離職者が増えているという。半年または1年間という期間限定の中で、コロナ禍を乗り越え「社員を守る一つの手段です」と強調していた。
(トラベルニュースat 21年5月25日号)
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