第4の開国に備える ひがし北海道自然美への道DMO・コロナ後の戦略へシンポジウム(1) 変革経済に対応する「マーカー」
鎖国が開けた幕末の「第1の開国」、戦後の「第2の開国」、小泉政権の観光立国宣言に伴う「第3の開国」―。そして今、コロナ禍が収束し世界が一斉に開かれる「第4の開国」が迫っている。世界規模で観光誘致合戦が必至な中で、何を準備し何をすべきなのか。そんな刺激的な問い立てで、ひがし北海道自然美への道DMO(上野洋司会長)が1月末にシンポジウムを開いた。
訪れなければいけない地域に
基調講演は、北海道大学国際広報メディア観光学院の石黒侑介准教授。コロナ禍によって世界は同条件で鎖国状態になった。だが、競争環境は変わらないとした上で、コロナ後について石黒さんはこう話した。
「特定媒体を使いターゲットを絞って誘客する時代ではなくなる。社会全体の雰囲気をどう醸成していくかをデスティネーションとしてアプローチしていかなければならない」「デザインされた心地良さをちゃんとセッティングすること」。後者については行きたいところに行く観光ではなく行きたいところを事前にデザインし予約する動きが顕著になる、とした。
社会全体を動かす観光地域のキーワードとして、石黒さんは「マーカー」という考え方を示した。これは、観光資源を観光アトラクション化することで価値を高め「訪れざるを得ない状況」をつくる戦略で、資源そのままではなくストーリーや自己変革の場であることを示すものだという。
石黒さんは、エクアドルで路上に赤道が描かれ自らがまたいでいる写真を見せた。「実はGPSで測定すると、ここは赤道ではなかった。でも、その真正性よりも赤道をまたいだということが大事であり、エクアドルはこれがマーカーになっている」。つまり資源を訪れざるを得ないよう観光客をアトラクト(魅了)しマーカーとして発信していくことが情報戦略に欠かせないと説いた。
(トラベルニュースat 22年2月25日号)
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