次の100年に向けて 全旅連第100回全国大会(1) 「SDGs元年」掲げ開催
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(多田計介会長=石川県・ゆけむりの宿美湾荘)の第100回記念全国大会が9月13日、東京都千代田区のホテルニューオータニで開かれた。1922年に全国旅館大会として第1回目を開催して以降、創立100周年・100回目の全国大会には、全国から約800人の会員が参加。記念講演を行った菅義偉前首相をはじめ多数の国会議員も詰めかけた。
節目の大会に全国から800人 国会議員も多く出席
100回大会のテーマは「全旅連SDGs元年未来の宿づくりに向けて」。コロナ禍で苦境に立った観光業界にあって持続可能な宿づくりを誓う大会宣言、外国人材の登用やプラスチック資源の循環促進、食品ロス対策などに取り組むことを決議した。
多田会長はあいさつで「今日の節目を心に刻み、全旅連はこれから次の100年に向かって社会の役に立つ、存在意義のある組織としてがんばっていこうではありませんか」と呼びかけた。
来賓からは、100周年の祝意と宿泊業がけん引する地方創生に期待の声が挙がった。
細田博之衆議院議長は「観光産業は日本の産業の中で一大重要産業になっているが、コロナ禍で過大な借金に苦しんでいる。極端に言えば金融機関が『徳政令』を敷くぐらいの措置を取らなければ若い経営者が次をがんばろうという気にならない。抜本的に観光産業のために頑張ることが21世紀の経済発展のために大切だと確信している」。
羽生田俊厚生労働副大臣は、今秋にも改正される見通しの旅館業法について言及し「旅館ホテルの現場で適切に感染対策が行われるようにしたい」と述べた。豊田俊郎国道交通副大臣は「宿泊産業は地域に大きな分配効果をもたらすなど地域経済の成長と分配の好循環をもたらす存在だ。次の100年に向けて地域のリーダーとして地方創生を推進していくことを期待している」とした。
自民党の麻生太郎副総裁は、自らの派閥である志公会の事務所が全国旅館会館に入居していることから「大家と店子の関係」と言って会場を沸かせた。「観光は日本の成長戦略の柱。地方においては切り札だ」。自民党生活衛生議員連盟の田村憲久副会長は「2019年のレベルに戻すだけで宿泊業界は10兆円回復する。未来は暗いわけではない」とエール。
岸田文雄首相はビデオメッセージで「SDGsはオールジャパンで取り組まなければならない」とし宿泊業界の取り組みに期待感を示した。
「第25回人に優しい地域の宿づくり賞」の表彰も行われた。厚生労働大臣賞は山梨県・富士レークホテルの「東京パラリンピック受入れ」、全旅連会長賞は奈良県・山代屋の「地域活性化として宿での子ども食堂」、選考委員会賞は島根県・なにわ一水の「1人でも多くのお客様に優しくありたい宿」、観光経済新聞社賞は滋賀県旅館組合の「SDGs(MLGs)宣言」が受賞した。
最後に次回、第101回全国大会が愛媛県で「地方観光復活元年」をテーマに開催されることが発表された。
(トラベルニュースat 2022年9月25日号)
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