次の100年に向けて 全旅連第100回全国大会(2) 菅義偉・前首相 記念講演(要旨)
全旅連全国大会で記念講演を行った菅義偉前首相の発言要旨。
安倍政権下のビザ緩和が訪日増の引き金
安倍(晋三)政権にとって決定的だったのはインバウンド。第2次政権が発足して初めての所信表明演説で、安倍総理は世界から人々が日本に来てもらえる観光立国を実現するということを初めて国民に約束をしました。そこからインバウンドについて徹底するようにと指令を受けました。
私は当初から、日本は観光立国に一番ふさわしい国だと思っていました。残念ながら当時、日本は840万人で、韓国は1千万人を超えていました。なぜ日本が韓国よりも少ないのだろう。インバウンドの条件と言われている気候や自然、文化や食はフランスと比べても遜色がない。そして分かったのは治安関係の省庁が反対してビザを緩和しなかったことだったんです。法務省と警察庁が反対していたんです。
しかし、ここに風穴を開けなければ観光立国になれないし、他の国と同じ条件にするだけでいい、日本だけが特別厳しかったからです。治安当局から来ていた秘書官は、ビザを緩和したら悪い人間が入ってきて犯罪も多くなります、長官それだけはやめた方がいいと言うから、私はあえて「悪い奴を捕まえるのが君らの仕事だろ」。
こっちも必死でしたから。他の国々と少なくとも同じようにビザの緩和を始めた。そうしたら面白いように増えてきた。当時840万人が7年間で3200万人まできた。そして2020年にオリンピック・パラリンピックが決まっていたので4千万人の目標を立てたんです。これも安倍総理に判断してくださいと決めてもらった。そして30年には6千万人の目標を掲げました。

菅義偉前首相
今年のダボス会議で、世界で一番観光にふさわしい国に日本が選ばれました。これは画期的なことです。
このコロナの中で世界がビザを緩和している、個人旅行も認めている。さらに140円を超える円安、最高の機会の中で早く開放してくれというのが皆さんの思いではないでしょうか。一日も早く皆さんのご要望にお応えすべきである最高の機会です。政府に私からも強く話している。ようやく方向性が見えそうですが、最後まで皆さんに声を上げていただかなければ、なかなか簡単にはいかないだろうというのも事実だと思います。
私はGo Toトラベルを官房長官の時に推進をしました。当初、専門家の先生方は移動ではうつらないと言っていました。しかし、いつの間にかGo Toトラベルが一番の原因みたいにされてしまったことはたいへん残念でしたし、皆さんにも申し訳ないと思っております。しかし、コロナもようやくワクチンによって怖い病気ではなくなりつつあります。
(トラベルニュースat 2022年9月25日号)
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