KOUGEIツーリズム 北前船交流拡大機構と地域連携研究所、北陸復興支援策として提言(1) 輪島塗など伝統工芸品を世界展開
「地域間交流拡大」を強力に推し進め、地域の活性化および観光の促進に取り組む北前船交流拡大機構と地域連携研究所は4月25日、「北陸復興支援企画会」を東京都中央区の日本橋とやま館で開いた。富山県や石川県といった自治体や会員企業ら34人が参加し、現地の被災状況の共有、今後の支援について議論。地域間連携を通じて能登半島地震への支援に取り組むほか、伝統工芸による新たな誘客手法として「KOUGEIツーリズム」の展開を提言した。企画会に参加した観光庁の竹内大一郎観光資源課長はKOUGEIツーリズム推進への要望の声を受け止めた。
市場価値を伸ばす余地 情報発信に工夫を
企画会の冒頭、北前船交流拡大機構・地域連携研究所の濱田健一郎理事長が「西日本豪雨があった際には、被災地を応援するイベントを行った。皆の力や知恵を使い気持ちを伝えていきたい」とあいさつ。
主催2組織が、イタリア・ミラノで開かれた欧州三大家具見本市の一つミラノサローネの中で最大級の展示会「フォーリサローネ」に伝統工芸品の備前焼(岡山県備前市)、大館曲げわっぱ(秋田県大館市)を出展した報告をもとに、北陸支援策が発表された。
企画会に参加した横山信一参議院議員は、北陸の復興に向けて各団体から一通りの支援メニューがそろっていることを説明。「目詰まりを起こしているところは役所と連携し、各業界団体とも意見交換を密にしながら対策、対応をしていく」。伝統工芸品の振興については「各省庁に横串しを刺した検討が必要。ミラノフォーリサローネの発表は、ヨーロッパに道を開いたという意味でも大きな出来事」と述べた。

備前焼、曲げわっぱと
イタリアミラノの学生との交流会で
日本政策投資銀行の高澤利康常務執行役員は、グローバルな視点から伝統的工芸品の世界戦略ついて発表。地域活性化に伝統工芸品が重要なコンテンツである一方、市場価値を伸ばすための余地があることを示した。市場価値を伸ばすには海外展開が必要であるほか、表面的な宣伝ではなく職人や事業者が現地の空気や市場の状況を把握しながら人とつながっていくことの大切さを説いた。
ミラノフォーリサローネについて、高澤常務は「海外の富裕層は日本の伝統工芸品に関心を持っているが、情報発信がまだまだ足りないことが分かった。継続した取り組み、現地人とのネットワーク化、信頼づくりを引き続き検討していかなければならない」とした。
(トラベルニュースat 2024年5月25日号)
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