手弁当で地元と協働 関西各府県旅行社有志が石川県・滋賀県で取り組み(1) 山代温泉へツアーで送客
今夏、関西の中小旅行会社が動いた。一つは、今年1月の能登半島地震で旅行商品化に伴う間接的な復旧支援を石川県山代温泉で7月末に行われる「山代大田楽」に合わせて実施。もう一つは、コロナ禍以降に昼食を受ける施設が激減した滋賀県の琵琶湖エリアにおいて、クルーズと昼食をセットした新たなプランの開発をおごと温泉の旅館経営者や船会社とともに行った。いずれも関西各府県の旅行会社が参画し、地域との協働による中小旅行会社の従来にないスタイルを示した。また、どちらも行政などからの支援はなく、旅行会社と地元関係者による民・民連携の手弁当で実現させたものだ。
「山代大田楽」集客支援で復旧支援
石川県山代温泉で毎年7月末に行われる中世の芸能を再現した「山代大田楽」の集客支援を行おうと一般社団法人全旅協大阪府旅行業協会(吉村実会長=歓喜トラベルサービス)が「大阪発着 特急サンダーバード・北陸新幹線で行く山代大田楽観賞ツアー(1泊2日)」を実施した。
ツアーは、能登半島地震で風評被害に遭った山代温泉側が今年1月、関西の中小旅行会社と商談会を実施し、現状を報告したことがきっかけ。その後4月には「こんな時こそ旅行で応援ツアー」と銘打った下見ツアーを実施、大田楽の「特別公演」に参加した旅行会社が感動したことから全旅協大阪府旅行業協会が商品化に結びつけた(本紙既報)。
具体的には、在来線特急と北陸新幹線を乗り継いで山代温泉の旅館に到着。夕食後、服部神社前特設会場の有料観覧席から、華やかな衣装を身にまとった田楽法師らが笛の音色とともに躍動感あふれる踊りを観賞した。
旅行業協会の吉村会長は「募集期間が短く12人という少ない人数でしたが、来年は早い段階で準備し、もっと多くのお客さんを送りたい」と話し、山代温泉観光協会の和田守弘会長(たちばな四季亭)も「人数うんぬんではなく、大田楽を観賞するためのツアーを組んでいただいて感謝しています、来年は山代温泉は来年開湯1300年を迎えます。その前年に関西の旅行業の人たちとの縁ができて喜んでいます」と話していた。
(トラベルニュースat 2024年8月25日号)
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