地域間交流で世界発信 北前船の功績を顕彰、釧路市で大会(1) フォーラムでアドベンチャートラベルの可能性探る
江戸から明治にかけて海運を担っていた北前船の寄港地連携や地域間交流で活性化を図る「第34回北前船寄港地フォーラムinひがし北海道・くしろ」と、地域間交流拡大を強力に推進し地域活性化に向けた課題解決に取り組む地域連携研究所(濵田健一郎理事長)主催の「第5回地域連携研究所大会inひがし北海道・くしろ」が6月末、北海道釧路市で開かれた。全国から約500人が出席。北前船が運んだ昆布の魅力や、道東各地でにぎわいを見せるアドベンチャートラベル(AT)の可能性を広げる討論、北陸復興支援における意見交換などが行われた。
北前船が運んだ昆布の魅力 テーマ性持った旅を
冒頭、秋田県の猿田和三副知事は「北海道名産の昆布や高田屋嘉兵衛の生涯を振り返ることが改めて歴史の意義を掘り起こし、地域の活性化や発展につながる」、福井県の中村保博副知事は「各地の産物や文化財を自慢し受け入れる場である。違いを楽しむというネットワークが地域の活力となるはずだ」とフォーラム開催の意義を強調。
観光庁の髙橋一郎長官(当時)は「全国各地の観光資源の可能性、ポテンシャルは限りがない。ありのままの自然、長年地域で受け継いできた暮らしや文化、地域で生きる人の生きざまそのものが特別な価値である。それらを観光として新たな成長力と誇りに変え、未来世代に受け継いでほしい」と訴えた。
北海道の鈴木直道知事は「北前船は経済的な恩恵、文化交流をもたらしてきた。北前船交流拡大機構とは連携協定の中で、各地に残されている様々なストーリーを伝えていきたい」とした。
「昆布物語 総集編」と題し行われた第1部では、昆布の老舗である奥井海生堂(福井県敦賀市)の奥井隆社長が「昆布と和食の素晴らしさ」をテーマに講演、和食文化を支える昆布の魅力を多角度から説明し「人類の味覚は和食を楽しむためにある。美味しさの理由を世界に伝えられれば、和食の人気は世界でさらに高まるはず」と訴えた。
また「アドベンチャートラベルの聖地―JR(ジモトレール)を利用した格別な体験のへのご招待―」をテーマに、環境省釧路自然環境事務所の岡野隆宏所長や釧路新聞社の星匠社長、北海道釧路市の蝦名大也市長ら5人が登壇。司会を務めたJR北海道の戸川達雄執行役員釧路支社長は、アドベンチャートラベルを進めるために必要なこととして①ほかにないユニークさ②挑戦③自己変革④ローインパクト⑤健康―を挙げた。登壇者は、環境保全につながる仕組みづくりや、地域に直接触れられるツアーを紹介した。
東武トップツアーズ会長で北前船交流拡大機構の久保成人副会長は「ひがし北海道は世界的価値の資源が覆い。一方でサラサラと見て終わる旅やツアーが散見される。テーマや物語、ストーリーを固め量ではない質が高い旅を生み、経済効果、地域振興へと結び付けてほしい」と総括した。
(トラベルニュースat 2024年9月10日号)
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