“脱皮”へ雌伏の年 紙面から選ぶ2024年観光番付(1) 正月早々に観光業界“激震”
今年の総会で辞意を表明した全国旅行業協会の二階俊博会長が「観光は平和産業」と口酸っぱく話しているが、2024年も平和、平穏のありがたさを実感した年になった。パンデミックからようやく脱却したと感じだした途端、地震に豪雨。人手不足に加えて物価高が追い討ちをかける。宿泊料金の高騰に多数の日本人はおののき、一方でインバウンドは「安い」とのたまう。来年は観光産業が新たな地平を見い出し“脱皮”する巳年となるよう、24年発行最後の紙面で観光業界を番付にして振り返ってみました。
北陸支援のありように新たな“地平”を見る
A 今年はひどいスタートだった。1月1日夕方に能登半島地震、翌2日には羽田空港で救援機がからむ衝突事故があって、日本に何が起きているんだという気持ちになった。
B 観光名所の輪島の朝市エリアが全焼し、和倉温泉もほぼ全域が被災、復興には数年かかると言われている。その中で被災した旅館ホテルのスタッフの献身的な対応をはじめ、被災地に送客していた旅行会社や運輸機関の初動の速さが目を引いた。
C 北陸3県では旅館ホテルの組合が動き、被災者を受け入れた。毎年のように大きな災害が発生していることで、このあたりの対応は迅速で、災害時の旅館ホテルが頼りになることが世間にもより浸透したと思う。観光を通じた北陸3県の復興後押しには、こうした取り組みが共感されているのも大きい。
D 北陸応援割もあった。3県に事業所を持つ旅行会社とOTAに限られていたが、もう少し柔軟であってもよかったのではないかと…。
A と言うのは?
D 関西の旅行会社有志が石川県へ応援割を用いてツアーが催行できないかと企画した。石川県旅行業協会の協力を仰ぎ、被災した観光事業者との懇談やツアー造成まで協働して取り組もうとした。その中で石川県旅行業協会が事務局に応援割の適用が受けられるよう相談を持ちかけたんだけど、そうしたスキームを応援割の対象にしてしまうとあっという間に予算が尽きてしまうと断られてしまったらしい。
B 確かに残念だった。被災エリアの旅行会社と他地域の旅行会社がタッグを組んで、風評被害の払しょくや送客支援という形で、中手旅行会社のネットワーク力を発揮できる機会だった。
A 旅行業界でかねてから言われている着地型旅行のもう一つのカタチを示せたかもしれない。
C 発災から1年が経つ。その間にも能登半島は9月に豪雨に見舞われ、先月には再び強い地震があった。旅行やMICEの開催などを通じて観光業界として間接的にでも支援を続けたい。
C 西の横綱には同じ北陸の話題で、3月に開業した北陸新幹線の福井・敦賀を挙げたい。今号の北陸特集で触れているが、延伸した沿線の観光スポットは観光客が増え、開業効果は間違いなくあった。復興支援という面も含めて、効果が持続してほしいね。
(トラベルニュースat 2024年12月10日号)
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